合併絡みで空転の瀬戸田町 向山議長再任で22日ぶりに休戦 来春控えた町長選の前哨戦が胎動

掲載号 02年09月14日号

前の記事: “女優・東ちづるさん 母校因島高校で講演【1】
次の記事: “亀田尾道市長が3選表明合併の成功めざし立候補

 合併問題が絡んで空席の議長人事で空転が続いていた瀬戸田町議会は9日、臨時町会を再開、8月20日に辞職した向山達夫氏=写真中央=の再任を決め、会期延長を6回も繰り返し日間の攻防にいったん幕を下ろした。

1032018265.jpg

 長期間に渡る空転劇は8月12日の町会議で三原広域合併推進協議会(任意協)加入に必要な事務負担金の支出が8対7の1票差で否決されたことが要因。同町の議員定数は16人。このうち議長は投票権が無いので15人で決定することになる向山議長が一議員であり、三原合併反対派が議長であったら賛否は逆転する計算になるわけで、仕切り直しを試みた。
 攻めるも守るも一票差の責任が重く議長人事が難航した。9月定例議会への影響もあって、これ以上議長空席は許されない―と、複数の議員が向山氏の説得に動いた。その結果、議長代行の飯田誠一副議長が向山氏を議長に指名推薦、全会一致で再任が決まった。

合併是非巡り 二つの講演会

 合併論争が過熱してきた同町は12日、柴田大三郎町長と同じ高根出身の工博、前日本下水道事業団理事長中本至さんを講師に「合併問題は、感情論の合否議論でなく、広い視野と未来像予測を的確に、大乗的に深めるべき」と講演会を開き、瀬戸田の街づくりを考える住民ネットワーク(世話人代表平山助成)は島根大学教授、保母武彦教授を招き日ベル・カントホールで「市町村合併と地域のゆくえ」と題して講演会。保母教授は「平成の大合併は地方交付税の削減による政府の兵糧攻めと合併特例債や地方交付税算定替などアメとムチで市町村から自主的な選択を奪う問題」と指摘。住民が判断するのに必要な情報、例えば、福祉協議会の統合、保育所や学校の統廃合、病院、商工会、商工会議所の統廃合問題など、ほとんど合併議論にさえなっていない。単純な合理化でなく新しい自治体像を創造するのが合併より住民の利益となる―と力説。自主改革を乗り切る首長のリーダーシップを求めた。

因島市の合併パターンは仕切り直しで早急に結論

 因島市9月定例市会は11日開会。会期を20日までの10日間と決め一般質問に入った。各議員から、いまだ定まらない合併枠組みについての質問に対し、村上和弘市長は「新らためて住民の説明会やアンケートを実施して結論を導き出したい」と答えた。
 同市は昨年12月、住民が望ましいと思う合併相手先を問う住民アンケートを実施。瀬戸田町との合併を望む意見が46.2%を占めトップだった。これを重視して瀬戸田町にアプローチ、1市1町合併研究会を立ち上げた。ところが、今年3月上旬に突然、瀬戸田町長が三原市への合併を打ち出して両市町の協議が一方的に打ち切られた。
 ところが、瀬戸田町は町議会の反対で三原市との合併があやしくなっているので因島市にとって未練が残っている。

村上幹郎

E

トラックバック