因島水軍まつり島まつり

2018年8月、因島水軍まつりは、サントリー文化財団「第40回サントリー地域文化賞」を受賞しました。

この賞は、全国各地で展開されている芸術、文学、伝統の保存・継承、衣食住での文化創出、環境美化、国際交流などの活動を通じて地域の文化向上活性化に貢献した個人・団体に毎年贈呈されるものです。1979年の創設以来、全国の都道府県より受賞者が生まれてきており、2018年度の受賞者を加えると総数は214件に達しています。

また「サントリー地域文化賞」は30年以上にわたり、全国の地域文化活動を対象に顕彰されるもので、この度の受賞は大変意義あるものとなりました。


選考対象

活動の継続性、独創性、発展性、地域への影響力の大きさ等を考慮し、原則として全国から毎年5件の活動を選定する。

選考方法

サントリー文化財団から全国各地の新聞社とNHKに候補の推薦を依頼する。書面審査の後に現地調査を行い、その結果をもとに最終選考をおこなう。

正賞、副賞

正賞 盾、副賞200万円

広島県における過去の受賞

第4回(1982)日本はきもの博物館福山市
第11回(1989)トワ・エ・モア(合唱団)広島市
第26回(2004)説教源氏節人形芝居「跳楽座」廿日市市
第37回(2015)歴史と文化のガーデンアイランド下蒲刈島呉市
※他の受賞団体等、詳細につきましては、サントリー文化財団ホームページをご覧ください。

活動概要

受賞団体 広島県尾道市 因島水軍まつり実行委員会
<代表> 実行委員長 巻幡伸一

巻幡伸一

受賞理由

かつて村上水軍が拠点とした因島で、水軍にちなんだイベントを住民総出で開催。島、海、火をテーマにした3つの「まつり」を通じ、地域の文化や先人の知恵を学び、継承する場となっていることなどが高く評価された。

活動概要

瀬戸内海西部の芸予諸島に位置し瀬戸内航路の要衝である因島は、南北朝時代から戦国時代に活躍した村上水軍の本拠地として知られている。水軍ゆかりの史跡が数多く残されているこの島で、水軍ゆかりの祭りが毎年開催されている。

村上水軍に関する記録は少なく、その実像は不明な点も多い。そのような中で1974年、島の住民が中心となって古文書をもとに村上水軍の陣太鼓を再現し披露した。1980年には、青年会議所の主催により「ちびっこ水軍まつり」が開催され、陣太鼓の体験教室などが行われた。

当時の因島は中心産業であった造船業が不況に見舞われており、それにかわる地域振興の核になるものが模索されていた。そうした中、地域の誇りである村上水軍の歴史を活かしたイベントの開催が官民の間で検討され、1991年に国の「ふるさと創生事業」の基金を活用して、水軍の甲冑と木造の伝令船である「小(こ)早(はや)」を復元。同年、第1回「因島水軍まつり」を開催した。祭りでは太鼓のリズムに合わせて小早舟をこぎ、速さを競う、水軍さながらのレースを行った。その後も島の歴史を彷彿とさせるイベントを考案し、1993年には島、海、火をテーマとする3部構成の祭りのスタイルが定着した。

初夏に行われるオープニングイベント「島まつり」では、島内各地域の公民館や神社を「城」と定め、全町内会が参加して甲冑を着た武士たちの出陣式を行う。続いて8月に開催される「海まつり」では、小早舟のレースを行い、小学生や中学生、男女の部門ごとに勝敗を競う。フィナーレである「火まつり」は、任務を終えた水軍の帰還を再現する。水軍太鼓の演奏や水軍の勝利・帰還を祝ったとされる踊り「跳楽舞」のコンテストを行う。そして松明を持った武者が舟で帰還し、松明と花火で海辺が彩られる美しい情景が繰り広げられる。現在では3つの祭りを通じて、約6万人が訪れるイベントとなっている。

これらの祭りには島のすべての町内会が参加し、官民一体となってイベントを支えている。2006年に因島市が尾道市と合併した後は、島外の学校からの参加者も増えた。さらに2012年には、「全国水軍まつり」を開催し、毛利水軍(山口県萩市)や熊野水軍(和歌山県新宮市)、松浦水軍(長崎県松浦市)に扮したそれぞれの地域の人々が因島に集って武者行列を行うなど、同様の歴史を持つ地域間の交流にもつながっている。

「因島水軍まつり」は、海上の秩序を維持した村上水軍の歴史と、それに対する誇りや人の和の大切さを改めて実感することのできる、貴重な機会となっているのである。

(サントリー文化財団プレスリリース資料から抜粋)