近況-今書いている本

一橋大学副学長 寺西 重郎

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 大学の先生をしていると時々夏休みが長くて良いですねと言われる。ところがさにあらず、ふだんは結構忙しく、夏休みは我々にとってのカセギどきで勉強と研究に明け暮れるしかない。今年もおそらく間近にせまった(例によって余り売れない)本の執筆に追いまくられることだろう。家族そろって、父の墓参りを兼ねて帰省するつもりだが、余りゆっくりすることもできそうにない。

 今書いている本は、日本の経済の仕組みをどうしたらよくすることができるかということについてだが、私の本としては珍しく時論的なものだ。おそらく、小泉さんのやられている中央主導の改革ではダメで、中央地方の関係が逆転するような徹底した地方分権化を行うとかが必要だ、という話になる予定。もっと地方が中心になって日本をささえねばならない。

 現在中央の官僚・政治家が地方交付税等をつかって地方をコントロールしているが、本当はそうでなく、地方の経済と社会がしっかりして今と逆に地方から中央に対して「中央交付税」を出すくらいでないといけない。地方がしっかりすれば、みんな地方に本来の足場をおいて生涯設計をたてるようになる。地方へのじターンが特別の現象のように言われているが、本当はUターンが普通でないといけない。ザッとこういうことを書きたいと思っている。

 有名な唱歌「故郷」(うさぎ追いしかの山…)の三番を御存知だろうか。「志をはたしていつの日にか帰らん、札は青き故郷、水は清き故郷」そう、本来いつでもみんなの帰る場所として地方はあるべきだと。

因島高校同窓会報3号(2002年)より

【プロフィール】

1942年12月28日誕生

1961年03月 旧因島高校卒業
1965年03月 一橋大学経済学部卒業
1970年03月 一橋大学大学院博士課程修了
1970年06月 一橋大学経済研究所専任講師
1973年06月 一橋大学経済研究所助教授
1984年04月 一橋大学経済研究所教授
1976年07月 1978年7月 エール大学客員教授
1985年09月 1986年4月 オーストラリア国立大学客員教授
1998年03月 2000年2月 一橋大学経済研究所長
2000年12月 2001年11月 一橋大学副学長

最終学歴 1970年3月 一橋大学大学院博士課程
経済学博士(一橋大学)(1983年10月)
専門分野 金融論、日本経済論、開発経済論

【参考リンク】

http://www.ier.hit-u.ac.jp/Japanese/research/member/teranishi.html

http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/daishu/online/lec55.html

http://www.ier.hit-u.ac.jp/COE/Japanese/Newsletter/No.5.japanese/teranisij.html

掲載日 : 2002年08月01日 E

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