因島で見た野鳥【180】絶滅危惧IA類アカハジロ

本年3月17日に、環境省から鳥類・爬虫類・両生類についての「第5次レッドリスト」と「レッドデータブック」が公表された。データブックはおおむね10年ごとに見直され、第4次レッドリストは2012年8月に公表されている。

地球上の現在の生物は、地球史的な長い時間を経て生まれ進化を続け現在の状態に到達した生命体で、それ自体が貴重であるが、これらが多様に関わりあった生態系の中で、人間も生きることができる。この観点からも、どの種も貴重で絶滅を防ぐことが重要と考えられている。

レッドリストは、絶滅危惧の度合いで、次のようなレッドリストカテゴリーで分類されている。すでに絶滅している種を「絶滅(EX)」、飼育下などのみで存続できる種を「野生絶滅(EW)」、次いで、絶滅危惧が最も深刻なのが「絶滅危惧IA類(CR)」で、順次、「絶滅危惧IB類(EN)」、「絶滅危惧II類(VU)」、「準絶滅危惧(NT)」に分類され、さらに、絶滅の惧れがあるが情報が少なくて正確な評価ができない種を「情報不足(DD)」として分類されている。

第5次レッドリスト(鳥類)に掲載されているカテゴリーごとの種の数と、因島で見た野鳥でリストに掲載されている種の数を表①に示す。

因島で見たレッドリスト掲載種の野鳥は18種である。これらの野鳥について、主に「第5次レッドデータブック」を参照して、絶滅が危惧されている状況を数編にわたって簡単に述べる。

絶滅危惧IA類(CR)に指定されているのは23種で、ヤンバルクイナ、エトピリカ、カンムリワシなどがよく知られているが、本連載【138】で紹介したアカハジロも、CRに指定されている。

因島で見た野鳥【138】アカハジロ

アカハジロ・メスと同定した個体は、潜水ガモであるホシハジロやメジロガモと共に、因島の野池で2021年11月に1週間ほど滞在した。再掲になるが、その時の写真が写真①である。

写真①アカハジロ・メス(2021年11月24日撮影)

レッドデータブックによると、成熟個体数は50未満で、日本への飛来数は毎年数羽程度とのことである。シベリア南東部から中国北東部にかけて繁殖し、中国南部などで越冬する。日本には少数が渡来し越冬する。IUCN(国際自然保護連合)レッドリスト2019では、成鳥数は150~700羽と見積もられている世界的な希少種である。

ホシハジロやメジロガモとの交雑種がしばしば観察されている。本連載【138】でも、交雑の可能性をいくつかの文献を調べ検討した。

幸いなことに、アカハジロとした個体は、一緒にいたホシハジロやメジロガモ(この種も日本で見ることは極めて稀)と比較・検討することができて、ホシハジロやメジロガモとは異なった特徴を持ち、交雑種とする根拠はなかった。もちろん、遺伝子配列レベルでの判定で交雑種とされる可能性は否定できない。アカハジロとしたのは、野外観察の結果である。

本連載【138】でも述べたが、因島も他の地域と同様に地球の一部なので当然かもしれないが、希少な野鳥に巡り会えたことに単純に感動している。

次回以降、因島で見た野鳥の中で、EN、VU、NT、DDに分類されている種について、順次のべる。

文・写真 松浦興一

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