JMU因島事業所 吉田淳所長インタビュー「因島の未来と世界水準の技術力」
因島を代表する企業の一つであるジャパンマリンユナイテッド(JMU)株式会社因島事業所。4月に就任した吉田淳(よしだあつし)所長は、「企業として因島を盛り立て、地域に貢献していきたい」と意欲を語る。今回は、世界有数の造船企業であるJMUの概要とともに、吉田所長の思いや因島事業所の役割について聞いた。
日本有数の造船会社JMU
JMUは2013年、JFEグループとIHIグループの造船部門統合によって誕生した国内有数の巨大造船会社。本社を横浜市に置き、有明、津、呉、横浜、因島、舞鶴の6事業所と2つの技術研究所を擁する。
売上高は約4千億円規模を誇り、日本国内建造にこだわりながら、世界最大級の船舶建造を担っている。
商船分野ではVLCC(超大型原油タンカー)や2万4千個積み大型コンテナ船、40万トン級鉄鉱石運搬船など、人類最大級の構造物ともいえる巨大船を建造している。
艦船分野では、海上自衛隊のイージス艦や護衛艦「いずも」「かが」などを建造。また、日本唯一の砕氷船メーカーとして、歴代の南極観測船「しらせ」の建造も手掛けている。
津・横浜の技術研究所には国内最大級の船型試験水槽や氷海水槽を備え、世界トップクラスの燃費性能を持つ船舶開発を支えている。
日本屈指の修理 ヤード・JMU因島
その中でJMU因島事業所は、新造船ではなく船舶修理を専門とする国内有数の拠点である。
穏やかな瀬戸内海のほぼ中央という立地を生かし、3本の大型ドックを備える。自衛隊艦艇や大型フェリー、自動車運搬船、商船、米軍艦艇など、多種多様な船舶の修理に対応している。
特に掃海艦の修理を得意とし、専用ドックも保有。近年は米軍艦艇の長期入渠も増加しており、日本の安全保障を支える重要な役割を担っている。
また、大型内航フェリーの修理隻数も国内有数。大型船を受け入れられる修理施設が限られる中、高度な技術力で日本の物流インフラを支えている。
「JMU因島は日本一の修理ヤードだと自負しています。規模も技術力も国内トップクラス。島の皆さんに誇りに思っていただける存在でありたい」と吉田所長は話す。
世界を見てきた所長が感じる因島の魅力
吉田所長は東京都渋谷区出身。日本鋼管(現JFEグループ)入社後、ロンドンや香港への駐在を経験し、仕事ではアフリカを除くほぼ世界中を訪れた。
「海外で活躍したいという子どもの頃の夢を会社が実現してくれました。家族で過ごした駐在生活は人生の宝物です」
そんな吉田所長が赴任後に改めて感じたのが、因島の景観の美しさだった。
「初めて因島に来た妻が『奇跡の風景』と言いました。世界中を見てきましたが、因島はトップクラスに美しい場所です」
「ふるさと」を守りたい
渋谷で生まれ育った吉田所長だが、再開発などで母校の小中学校は廃校となり、かつての街並みも大きく変わった。「友人たちは皆地元を離れ、私にとって渋谷は“ふるさと”ではなくなりました」
その経験から、因島への思いは強いという。「皆さんには当たり前かもしれませんが因島には守るべき“ふるさと”があります。土生には昭和の雰囲気や人情が残り、個人経営の魅力的な店も多い。東京の下町に似た魅力を感じます」
現在は土生の飲食店にも積極的に足を運び、地域住民との交流を深めている。
地域貢献へ 社員寮建設も
JMU因島事業所では地域貢献策の一つとして、2027年度の完成を目指し土生地区への社員寮建設を計画している。
「まずは自社でできることから始めたい。企業として因島を明るくしたいと思っています」
以前勤務したJMU呉では、戦艦大和ゆかりの地域資源を活用したイベントや連携事業にも携わった。
「因島にも魅力的な資源や文化、産業がたくさんあります。企業として地域が盛り上がる話題づくりにも貢献していきたい」
因島とともに歩む企業へ
JMUは近年、業績が堅調に推移しており、因島事業所への注目度も高まっている。「企業価値をさらに高めながら、島を代表する企業として因島の未来に貢献していきたい」
最後に吉田所長はこう締めくくった。
「私は“ふるさと”を失った経験があります。だからこそ皆さんの因島がこれからもずっと”ふるさと”であり続けてほしい。そのお手伝いができれば嬉しいです。JMUをこれからもよろしくお願いします」
世界水準の技術力を持つ造船企業と、地域への愛着を深める新所長。JMU因島事業所は、船舶修理だけでなく、地域の未来を支える存在として新たな歩みを進めている。

昨年の因島水軍まつり海まつり小早レースでは、JMU因島事業所から2チームが出場し、「JMU海坊主」が初優勝を達成。地域行事への参加を通じて、社員と住民の交流も深めている。
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