因島で見た野鳥【178】センダイムシクイ

ムシクイはスズメ目ムシクイ科の鳥で、「日本鳥類目録8版」(日本鳥学会、2024年発行)によると15種いる。名前のとおり、昆虫や節足動物を主食とする小型の鳥である。

清少納言が枕草子のなかで、『ウグイスが世間では「むしくい」などと言われて残念だ』と記している。古くは、ウグイスも「むしくい」の仲間と見なされていたようである。

現在では、ウグイス科、ムシクイ科、センニュウ科、ヨシキリ科、セッカ科、キクイタダキ科に分類されている野鳥は、2012年の目録改訂まで、すべてウグイス科に属していた。

これらの鳥は、雌雄同色で、外形はよく似ていて識別は容易ではない。とりわけ、ムシクイ科の鳥は外形による識別は困難で、鳴き声で識別する場合もあるという。

4月下旬に、見たことのない野鳥がいた。

山中の暗所で写真が不鮮明ではあるが、写真①では、上面が緑色みの強いオリーブ色で、白っぽく明白な眉斑と頭央線があり、眉斑の下に黒っぽい過眼線が確認できる。

写真①センダイムシクイの背面

写真②では、上くちばしは黒色で、下くちばしは先端まで橙色である。

写真②センダイムシクイの前面

写真③では、大雨覆の先端に白い部分があることがわかる。

写真③センダイムシクイの翼

これらの特徴から、写真の鳥がムシクイ科センダイムシクイと判断できる。頭央線があるムシクイは、他にカラフトムシクイとキマユムシクイがあるが、カラフトムシクイの下くちばしが黒く、キマユムシクイの下くちばしの先端が黒い。写真の鳥は、カラフトムシクイやキマユムシクイではない。

センダイムシクイを、新たに、『因島で見た野鳥』のリストに加える。

センダイムシクイは、夏季に東南アジアから日本に渡来して繁殖する夏鳥で、全長L=12.5cmで、メジロ(L=12cm)よりやや大きく、スズメ(L=14.5cm)よりずっと小さい。

ウグイスがホトトギスに托卵されるように、センダイムシクイはホトトギス科のカッコウやツツドリに托卵されることがある。

『江戸時代中期から「センダイムシクイ」として知られているが、「チョ チョ ピー」とさえずることから、「千代(ちよ)むしくい」と呼ばれていたのが「せんだいむしくい」と呼ばれるようになった』(菅原浩・柿澤亮三、「鳥名の由来辞典」柏書房、2005年、258頁)とのことである。

有名な「聞き做(な)し」に、「焼酎一杯ぐい~」があるが、録音されたセンダイムシクイのさえずりを聞いた限りでは、そのように聞きなすには多少の無理がありそうな気がした。酒好きの優雅な人生の達人が楽しんだ「聞き做し」であろう。「カンゼイ カンゼイ」と泣き叫ぶ人には、分からないだろう。

センダイムシクイの英名の一つが、Eastern crowned warbler(直訳すれば、東方の王冠をかぶった鳴鳥)である。

旧「ウグイス科」に含まれている種は、ウグイスも含めオスのさえずりには特徴があり、これらの鳥の英名には、「声を震わせて歌う人」の意味もある warbler がついている。

文・写真 松浦興一

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