因島で見た野鳥【177】タヒバリ

京都大学霊長類研究所の教授であった河合雅雄さんが、自分の少年時代を書いた「少年動物誌(河合雅雄著、福音館書店、2002年、240~241頁)の中に、次のような記述がある。「…ぼくと弟の道男は、タヒバリを追っかけて…冬のたんぼを走りまわっていた。タヒバリは、くすんだ色の田んぼの土くれのような小鳥だ…」。

写真①写真②は、石田憲ニさん(尾道市因島土生町)が、2024年11月に因島で撮影した野鳥の写真である。

写真①タヒバリの前面

写真②タヒバリの背面

写真からわかる主な特徴は、頭部から上面が灰褐色で、背には不明瞭ながら縦斑があり、嘴は細く、顔には淡色の眉斑とアイリングがあり、下面はバフ色(淡い黄褐色)で胸から脇にかけて黒い縦斑がある。これらの特徴は冬羽のタヒバリと一致している。タヒバリは、冬に日本へ渡来して越冬する冬鳥である。「因島で見た野鳥」のリストに、新たにタヒバリが加わる。

ヒバリやハマヒバリなどはスズメ目ヒバリ科の鳥で、イワヒバリなどはスズメ目イワヒバリ科の鳥である。タヒバリは、スズメ目セキレイ科タヒバリ属の一種で、ヒバリではなくセキレイの仲間である。タヒバリ属には、タヒバリの他にマミジロタヒバリなど名前にヒバリとつく8種とビンズイ(別名:木ひばり)1種が、日本鳥類目録8版(日本鳥学会、2024年9月発行)に記載されている。ビンズイはタヒバリによく似ているが、目の後方、眉斑の下に明白な白色斑があり、写真1、2の鳥には白色斑がないので、ビンズイの可能性はない。

タヒバリ(全長16㎝)の大きさは、ヒバリ(全長17cm)とほぼ同じで、ヒバリのように交互に脚を出して地面を歩き、色合いもヒバリに似ている。生息地が、ヒバリは草地や畑で、タヒバリは水田や湿った畑である。「江戸時代前期から”たひばり”の名で知られており、田に住む”ひばり”の意である」(菅原浩・柿澤亮三、「鳥名の由来辞典」、柏書房、2005年、278頁)。タヒバリの英名は
「Buff-bellied Pipit」で、タヒバリの仲間の英名に「Pipit」がついている。これは、タヒバリが飛び立つ時の鳴き声「ピィッ ピィッ」を表す擬声語由来であろう。

写真提供について、石田憲ニさんに謝意を表します。

文・松浦興一 写真・石田憲ニ

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