元因島市議会議員
 

因島市議会・市政報告

2001年(平成13年)3月

21世紀の幕開けの予算編成

 (村上とみお 3月定例市議会代表質問より)
 

 

 
 3月5日開会した因島市3月定例市会は、現職議員にとって最後の議会でした。皆様方のご支援により4期連続当選をさせていただき、そのご恩に報いるために私なりに因島市のために全力を尽くしてまいりました。
 
 このたびは、21世紀の幕開けの年でもあり、新生因島市にとって地方分権に伴う市町村合併の合併問題にとりくまなくてはならない重大な課題が目前に広がっています。
 
 こうしたなかで、2年ぶりに前年度当初比を2・8%上回る新年度予算案109億が上程されました。村上和弘市長は就任以来、赤字財政の健全化に努力、限られた財源の中でやりくりしながら活性化への道程を求めていますが、自民クラブを代表してわたしなりの考えを延べ、市長が進もうとしている因島市の指針について問い質しました。ご一読願い、皆様方のご意見をお聞かせ願い、市政発展の一助になれば幸甚の至りでございます。 
 

もてなしと文化を醸し出す「しまなみ交流都市」について

 
 【村上とみお】「ふれあいパラソル事業」の総費用はいくらでしょうか。
 
【市長答弁】瀬戸内しまなみ海道の自然・景観を活かした「体験・交流型周遊ルート」の形成と、新しい「しまなみブランド」を創出、リピーターを含めた来訪者の誘引と地域における滞在時間の延長を図るため、広島県側2市2町が連携し、統一イメージで施設設備を行い、住民と来訪者の交流事業を実施するものです。
 
 本市においては、大浜町のアメニティ公園にデイ・キャンプ、フリーマーケットなどのイベント活用を想定した交流スペースを整備する計画です。
その事業の総費用は2市2町で6810万円。うち、県の補助金が3分の2の5000万円です。
 
 6810万円の内訳は、尾道市が450万円、向島町が1800万円、瀬戸田町が2280万円、因島市が2280万円です。
 
 【とみお】青影トンネルの新設と生活道路の整備についてお聞かせください。
 
【市長】平成12年度現青影トンネル付近の地質状況調査実施し、道路計画の基礎資料を収集する事前調査を行ったこところです。
 
 平成13年度は、計画ルート選定のための測量、設計、および地元説明会を計画しております。
 
 完成年度、および事業費につきましては、現時点では事前調査のため、県から報告を受けてございません。道路改良事業として国の採択が決まれば、因島市の負担は必要ないものと考えております。
 
 市民の生活道路に、今年いくらの予算になるかのことでございますが、道路等(河川、急傾斜、都市下水含む)生活関連当初予算額は、2億6940万円、対前年度6530万円の増率にしまして32%の増でございます。
 
 舗装工事(オーバーレイ舗装)の年間実施予定面積は1万7000平方メートルくらいを計画しております。(道路幅員3mで延長約5700メートルくらい)
 

 「囲碁博物館」の建設計画について

 
 【とみお】「囲碁博物館」の建設についてのお考えをお聞かせください。
 
【市長】平成9年1月に本市が囲碁を「市技」に制定して4年が経過しようとしております。
 
 囲碁を市技に制定して以来、今日まで「囲碁のまちづくり推進協議会」を中心に囲碁を通じた交流大会や学校現場への指導者の派遣等により、市民の交流の場を創設するとともに、囲碁文化のもつ素晴らしさを1人でも多くの市民に理解していただけるよう取り組んでいるところです。
 
 特に、年2回開催しております「秀策囲碁まつり」には、遠く県外からも、多数の参加者を得ており、中には毎回、因島市に来ていただいている方もおられるなど大きな成果をあげています。
 
 また、囲碁博物館の建設についてですが、昨年12月議会におきまして「国立博物館の設置を国に要望してはどうか」といったご提案を頂きました。
 
 幸い、本年1月に上京する機会があり、地元選出の国会議員へその旨要望して参ったところです。今後も引き続き、書面等により早期建設に向けて要望して参る所存であり、ご理解を賜りたいと思います。
 

 
写真は本因坊秀策画像

 

 金山フェリートイレ建替えと竹長潮遊地有効活用について

 
 【とみお】金山フェリー待合室とトイレの建替えはどのように予定になっているのでしょうか。
 
【市長】平成10年度においてトイレの修繕料を計上しながら緊急に他のトイレを修繕したという経緯があります。
 
 金山フェリーについては多くの利用者がおられますが、待合室もトイレもあまり良い状況にはありません。市内にある多くの公衆トイレの水洗化についても計画的に対処していかなければならないと考えております。そのこともあわせて検討してまいりますので、もう少し検討期間をいただきますようお願いいたします。
 

 
建替えが待たれる金山フェリー待合室・トイレ

 
 【とみお】田熊町竹長新開潮遊地を整備し、因島ふれあい公園を建設してはどうでしょうか。
 
【市長】市内の潮遊地の維持管理につきましては、水路の悪臭対策及び流下能力の向上対策として、沈積土の取り除きを実施いたしております。
 
 竹長新開潮遊地につきましては、当面の対策として、中電工因島営業所裏にあります。既設の樋門のゲート改良が緊急を要すると考えております。
 
 当面、このゲート改良工事を先行する計画のため、ふれあい公園を含めた潮遊地全体の整備工事は、財政的にも困難であると考えており、潮遊地の維持管理に努めて参りたいと考えております。
 

 資源と技術をつむぎ出す「次世代産業都市づくり」について

 
 【とみお】重井工業団地の分譲と価格はどのように設定されますか。
 
【市長】重井工業団地は平成9年度に着手し、平成13年度完成、分譲開始の予定です。現在残土処分を概ね終え、汚水排水工事と雨水排水工事を実施すべく準備にとりかかっているところであります。分譲が出来るだけ早期に終えられるよう本年1月には企業立地説明会を県と合同で東京と尾道で開催し、75社の出席がありました。
 
 分譲単価につきましては、計画当時坪12万円でありましたが、造成コストの節減等により現在は坪10万円以下を予定しております。優遇制度といたしましては、因島市工場等設置奨励制度、因島市中小企業振興助成制度に加えて、県の助成制度も併せて利用できることになっており、このうち因島市中小企業振興助成制度は、市内企業者のみ適用となっています。

 
 
今年度中に分譲が開始される重井工業団地造成地

 
 【とみお】商業振興についての具体的な施策についてお聞かせください。
 
【市長】モータリゼーションの進展や、人口の郊外への移転等により、商業活動の中心であった街の中心部において空き店舗が増加し、大型店も中心部から撤退する動きが見られるなど中心市街地における空洞化がすすんでおり、因島市においても同様の傾向があることは認識いたしております。中心市街地活性化を図るため、本年度因島市中心市街地活性化推進協議会を設置し、活性化を図る諸施策について協議、研究をしているところであります。
 
 活性化のためには、商業、サービス業の振興、街路や駐車場等のインフラ整備、公共施設や交通機関の整備など広範囲な対策が必要であるため、官民あげて取り組まなければならないと考えています。
 
 【とみお】若者定住対策についてはどうでしょうか。
 
【市長】若者のUターン促進と企業に役立つ人材を育成することにより企業と地域産業の振興を図るため因島技術センターを企業と行政が連携し運営しているところです。
 
 平成11年度30名、平成12年度45名の若者が技術研修を行なったところであり、13年度におきまして4月から研修をおこなう予定です。
 
 若者にアンケート調査をして、希望する職種の把握をしてはどうかというご提言につきましては、現在因島地域雇用連絡協議会におきまして調査中であり、その結果参考にしながら若者の意向把握に努めたいと考えています。
 

 やすらぎと生きがいを育む「生涯現役都市づくり」について

 
 【とみお】福祉優先のまちづくりについてどのようにお考えですか。
 
【市長】道路交通のバリアフリーにつきましては、特に通行量が多い国道、県道の歩道について、歩行者が安全で安心して通行できるよう、幅の広い歩道の確保、歩道の段差の改善について、県土木と協議しながら取り組んでいきたいと考えております。
 
 
【とみお】これからの公共施設建設にあたってエレベーターを設置することについていかがなお考えですか。
 
【市長】今後の公民館の建設に当たって、エレベーター設備に対する私の考え方につきましては、公民館は地域における活動拠点として、老若・男女を問わず広く利用される施設であり、今日の高齢者社会において、エレベーターは必要不可欠なものと理解しており、可能な限り設置したいと思っております。
 
 また、公民館に限らず、これからの公共施設の整備、建設にあたっては、高齢者、障害者等の社会的弱者が利用しやすい施設にすることを、第一義的に検討する必要がある、と考えております。
 

 情熱と知恵を生み出す「人材育成都市」づくりについて

 
【とみお】行政改革・因島市の職員定数の見直しや取り組みについては、どのようにお考えでしょうか。
 
【市長】今回、当市では当面取り組みたい重点項目を定め、機構の見直しを行ないました。
 
 職員定数についても、村上とみお議員のご指摘の通り、人口100人あたり1人の職員の配置数ということでありますが、類似団体比較から一つの目標数値と思っております。
 
 新しい組織、機構で業務を遂行していくのに、縦割り体制の弊害や職員の意識、資質の変革を図りながら、現行の正規職員数をベースとして、若干の変動はあろうかと思いますが、スリムで効率的な行政執行が推進できる適正な職員を見定めたいと考えております。
 
 【とみお】尾道広域、尾三広域市町村圏振興協議会、上島諸島との話し合いについてですが、市町村合併は、いつ頃までに結論を出されるのでしょうか。
 
【市長】広域行政の推進についてですが、まず、尾道広域関係について、去る2月28日の全員協議会でもご報告を申し上げましたように、広島県の広域行政圏域の見直しに沿って、このたび尾道広域に新たに御調町が加入することになっております。
 
 また、尾道広域と三原広域を統合して尾三広域市町村圏振興協議会を本年4月に設立するよう、現在関係市町村と協議を重ねているところであります。
 
 次に上島諸島との話し合いでありますが、前年度は3回の協議を行なっております。今後も引き続き協議を重ねて参りたいと考えております。
 
 市町村合併はいつ頃までに結論を出すのかというお尋ねでありますが、法期限から逆算してまいりますと、遅くとも13年度中には結論をださなければならないのではないかと考えております。以上、ご理解を賜りたいと存じます。
 

合併の候補になっている生名島(中央)、岩城島(奥)

 
 【とみお】市税収入が人件費を上回っている市町村は、県内でどのくらいあるのでしょうか。
 
【市長】平成11年度の普通会計決算ベースでは、県下86市町村のうち29市町村となっております。残りの57市町村(66・3%)については、人件費の方が地方税収入を上回っておりますが、その要因といたしましては、都市基盤がぜい弱なため、自主財源である地方税収入が低く、交付税に依存した構造となっています。
 
 加えて、住民ニーズは多種多様となり、それらに対処してゆくための職員の確保などが考えられるところです。
 

幼稚園の民営化について

 
 【とみお】公立幼稚園の現在の状況はどのようなものですか。また、それの民営化については、どのようにお考えですか。
 
【教育長】幼稚園教育の現状は、少子化などの進行により、園児数は、推計によりますと今後5年間は横ばい状態にあるものの、その後は減少する傾向にあります。
 
 このような状況下にありまして、公立幼稚園と市立の幼稚園は、相互の連携等を考慮しながら、配置と規模の適正化、あるいは機能の充実を図る必要がありますが、その管理、運営方法等につきましては、それぞれの経営の問題、あるいは教育効果、さらに子育て支援など、多様な検討項目がございます。そうした総合的な検討を加えて、現在、幼稚園教育進行計画を策定しております。
 

 広島県立因島高等学校について

 
【とみお】市内生徒の因島高校への進学状況はどうなっているのでしょうか。また統合後の土生校舎の跡地利用についてはどのようにお考えですか。
 
【教育長】ご指摘いただいておりますように、近年、本市の中学校卒業生のうち、120~130名が島外の高校へ進学している実態があります。
 
 昨年度、因島高校へは定員280名のところに240名あまりの志願しかなかったのも事実でございますし、今年度も、定員240名のところへ224名の志願という状況であり、定員割れを起こしております。
 
 このまま、少子化が進み、島外流出がとまらなければ、10年もしないうちに新因島高校も、廃校の対象になってまいります。こういった地元に高校がなくなるという危機感から先般、平成12年11月には「因島高校を支援する会」も発足しまして、全市をあげた支援の輪が広がっております。
 
 その結果、「因島高校を支援する会」の活動が少しずつ効を奏し、衛星放送を使った講座(サテライト)の導入が進められているところです。
 
 なお、今後の対策につきましては、小・中・高等学校の連携をはじめ、家庭、学校、地域、行政が一体となって魅力ある学校づくりや地元高校への進学促進を図ってまいりたいと考えております。
 
 次に、因島高校の跡地の利用につきましては、学校統合推進の上で基点となる場所でもあり、その活用につきましては、ご指摘のアンケートも含め慎重に検討しながら取り組んでまいりたいと考えておりますのでご理解を賜りたいと思います。
 

 
跡地利用が注目されている因島高校土生校舎

 

東生口小学校の給食共同調理場の統合について

 
【とみお】東生口小学校の給食共同調理場の統合計画は、ずいぶん前から打ち出されていたと思いますが、これに関してはどうお考えですか。
 
【教育長】様々な過去の経緯もあって、単独校として今日に至っているところでございます。
 
 しかし、本市の行政改革大綱を踏まえ、あるいは共同調理場への移行というのが求められている現状から、この件に関しましては、非常に重要な課題であるというふうに重く受け止めております。
 
 いまだに実施されず、大幅に遅れた原因ということでございますが、学校統合との関係や広域行政の推進を視野に入れながら、関係団体、地元住民の意向、ニーズ等においても、総合的な判断、見極めが必要であり、早急に検討して参りたいと思います。
 

 小・中学校統合計画について

 
【とみお】小・中学校統合計画についてお聞かせください。
 
【教育長】ご指摘いただいておりますように、学校教育における子どもたちの学力の向上は、時代を担う人材の育成を図るためには、最重要課題であると認識いたしております。
 
 そのために、国際理解教育や情報教育、総合的な学習の時間など、さまざまな取り組みを進めておりますし、教職員の資質向上をはじめ、家庭や地域の教育力の向上も必要であると考えております。
 
 さらに、子どもたちに快適で良好な教育環境を提供することも重要であります。そうしたなかで、現在、本市の学校統合の在り方を検討し、計画策定に鋭意、取り組んでおりますが、先般、開催しました答申の説明会におきましては、答申の内容を広く市民に説明したところであり、教育委員会からも、市長としても、現段階で小・中学校を因北と因南で、それぞれ2校にするというようなことは、申し上げておりませんので、誤解のないよう、ご理解を賜りたいと思います。
 
 なお、学校統合計画につきましては、3月末を目途に進めておりますが、これをうけて、平成13年度中に実施計画を策定してまいりたいと考えております。