ふたりの時代【26】青木昌彦名誉教授への返信

天を衝く勢い
 60年安保での全学連の闘いをみるに、理論と実践の両面において、まさに「天を衝く勢い」を感じる。青木昌彦氏は、前掲の著書で次のように語っている。

 ―総評や社会党、共産党などの既成左翼は、安保条約の改定はますます日本をアメリカに従属させる動きだと捉えていた。彼らは当時、ソ連を盟主とするいわゆる「共産主義陣営」の圧倒的な影響下にあったから、ソ連の最大の敵、アメリカを敵とするのが当然と考えていた。だが全学連は安保改定が日本の政治的支配者たちの帝国主義的な野心を復活させるための軍事同盟だと考えた。左翼特有のレトリックを剥がせば、全学連の見方のほうが歴史認識としては当たっていたといえるだろう。それはブンドが自立した、自分の頭で考える組織だったからだ。

 全学連の安保闘争論のバックボーンになったのは姫岡玲治「国家独占資本主義論」であった。姫岡玲治とは若き青木昌彦氏のペンネームである。1956年に東大に入学した当時は歴史学者をめざしていたという昌彦氏は、先輩学生からの知的刺激を受けながら、まもなく執筆活動を精力的に開始する。本人は次のように語っている。

 ―私はブンド発足以前から、それまでの共産主義運動にまつわる前衛神話の打破や第四インターの批判、既成の左翼・労働運動を支配していた日本の政治経済分析の批判の文章などを、熱に浮かされたように書いていた。

 
 やがて安保闘争の年には、「日本国家独占資本主義の成立」(現代思潮社)という新書も出版した。20歳すぎたばかりの昌彦氏が展開したいわゆる「姫岡理論」について、前掲書の注で、本人が現在の高みから解説している。

 ―論争の相手は主にソ連を盟主とする共産党正統派(日本共産党主流を含む)、(イタリア共産党の影響を受けた)共産党構造的改良派、第四インターであったが、私の重要な論点は次のようなことにあった。

  1. ソ連は官僚の特権的地位を維持する国家に変質したので、革命運動の指導者の立場にもなければ、擁護の対象にもなりえない。
  2. 日本の資本主義は、戦中・戦前から小農などの古い要素を抱えつつも、それを利用しつつ高度の発展を遂げた。したがってそれはアメリカ資本主義にますます従属するというような後進性によっては特徴づけられない。
  3. 強力な独占企業体制は国家の援助によって出現したとはいえ、それは資本主義の独自の運動法則の発展の表現である(国家独占資本主義)。それは単なる政府の政策の結果として生まれたものでもなければ、それによって民主化されうるものでもない。

 また昌彦氏は次のようにも語っている。

 ―「革命的インターナショナリズム」というのは、気息奄々(えんえん)の第四インターに参加したり、ソ連や中国の国益・党益の手助けとなる反米闘争を自己目的にするのではなく、自国で国際的なインパクトある運動を起こすことにある、と考えた。「革命的」という修飾辞こそもはや用いないが、本当の国際主義というのはそういうものだ、と私はいまでも考える。

 詩人であり思想家である吉本隆明は、「戦後世代の政治思想」という文章のなかで、作家の石原慎太郎、大江健三郎と並べて「姫岡玲治」を論じた。「石原や大江が、戦前も戦中も体験しなかった過去としてあっさり無視(少なくとも当時までは)したのに対し、若い世代の政治家たちは戦前、戦中、戦後を貫く社会構成の総体的なビジョンの分析から一つの独自な政治思想を展開している」と高く評価した。
(青木忠)

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