イノシシ急増被害深刻【1】鳥獣被害防止計画、焼け石に水。甘いミカン越冬の餌に

島から島へと泳いで渡るイノシシ。シシは、いないとされていた尾道市因島でもこのところ急増を続け移動範囲も拡大、被害が深刻化している。里山の荒廃、休耕畑などに加え、繁殖活動が旺盛なことがあげられるが、防除対策が遅れたことで後手に回った。今になっては「懸賞金を百万円出してでも、頭数が少ない内にイノシシ退治をしておくべきだった」と、悔む。相次ぐ被害に農家は危機感を募らせ、ハンターは駆除した死がいの後始末に苦慮。食肉加工して特産品にというアイディアの模索も続くがなかなか一石二鳥の妙案にたどりつけない。

100キロ近いイノシシを仕留めた因島・瀬戸田猟友会。この駆除で猟犬2頭が怪我をした。

海渡るイノシシ

因島で初捕獲されたのは2002年12月11日。前年秋ごろから出没情報が寄せられていたが、半信半疑で聞き流されていた。

その情報は「瀬戸田方面から2頭のイノシシがしまなみ海道の生口橋を渡って来るのを目撃した」。さらに「生口橋を渡った因島側のミカン畑が掘りかえされた」という農家の苦情が寄せられたが、まちの噂にとどまった。それから約1年後、市が仕掛けたワナにかかり情報が裏付けされた。

対岸の島から侵入した噂のイノシシは、気が付くと繁殖をはじめており市が心配した農作物や人的被害の倍増傾向に、あの手この手の対策を講じたものの決め手がない。松食虫防除やカラス対策にイノシシ駆除が加わり担当課は頭が痛い

山を追われ海へ

因島の捕獲第1号のイノシシは、体重40㎏の若いオス。生口橋から遠く離れた因島外浦町の山林に仕掛けたワナにかかった。近くの天狗山林道工事をしていた業者から「足跡や地面に体をこすりつけた跡がある」と通報があり箱ワナを設置した成果である。

この付近は、山が深く、池があり、ドングリの木もあるのでイノシシにとっては最適な楽園である。しかし箱ワナは警戒心の少ない「ウリ坊(子ども)」が入ることが多く親はなかなか捕れない。雌親を捕獲しないと年間4―5頭を出産するので増える数の方が上回る

生口島では1997年ごろからイノシシ被害が拡大していた。同島の瀬戸田町で食糧用に飼育していたイノブタが逃げ出し野生化して繁殖したといわれている。因島の人はまさか、海を渡ってイノブタがやって来るとは思っていなかったので生□島のイノブタ被害は「対岸の火事」でしかなかった。

ところが、野生化したイノブタが縄張り争いで追い出され海を渡って因島で繁殖を始めたからだまっておれない。市や猟友会など有害鳥獣駆除協議会は、まず銃による駆除を開始。最初の3年はイノシシ狩りの猟犬が訓練されていないこともあって成果は3頭にとどまった。くくりワナを仕掛けた2000年度は5頭。2001年度は箱ワナ導入もあり17頭で農産物被害は年間350万円前後で推移していた。

2007年度は因島地域の生息数の増加に伴って62頭が捕獲され被害額も柑橘・芋類など1200万円に上り、今年度は9月末現在で前年度を上回る93頭を捕獲。被害額も1300万円を超え、ミカン類の収穫期を迎え、さらに被害の増大が心配される。

(つづく)

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