島の太平洋戦争描く「因島空襲」が出版 戦災史の欠落を修正

戦後ほとんど語られることのなかった「因島空襲」の全貌に迫った「瀬戸内の太平洋戦争―因島空襲」(青木忠著)が22日、出版された。

昨年7月28日に開催された因島空襲犠牲者慰霊祭につづいて、真相を明らかにし、犠牲者の慰霊を願ったものである。

瀬戸内の太平洋戦争―因島空襲

第一部が、日立造船因島工場での犠牲者社葬の責任者であった三浦勉氏の証言を中心に、空襲の実態が描かれている。工場内の空襲がリアルに迫ってくる。「三浦証言」の全容が公開されるのは初めてのことであり、全編が書き下ろしの作品。

第二部は、因島における公職追放事件を追った「巻幡家の昭和史―公職追放を越えて」である。故巻幡敏夫氏の波瀾万丈の生涯を描くことで、因島の戦中・戦後の解明を狙っている。本紙に連載されたものを部分的に構成を変え、加筆したものである。

この本の出版は、企画段階から各方面の注目を受けていた。因島田熊町在住の80代の女性は次のように語っている。

 ―三原から嫁いできて60年近くになるが、その間、因島空襲について誰からも聞いていなかった。福山にでかけたとき、福山に住んでいる人から「内海造船(当時の占部造船)に学徒で行って働いていた」と聞きビックリしたぐらいです。

せとうちタイムズの連載で、空襲について初めて知り、どうしても自分の耳で確かめたくて、「しまなみ苑」の集まりに行き、こんなにも体験している人がいるんだ、と知って驚いた。

息子たちは、皆、外に出ているが、いつか戻ってきたときに、空襲の本を残しておいてあげないと、何もわからないままになってしまう。この本は「因島の財産」です。

「瀬戸内の太平洋戦争―因島空襲」は、県の戦災史の欠落を修正する役割をも担っている。「広島県戦災史」を執筆編集した県の関係者も「当時事態が判明していれば、呉、福山とともに項目を設けて因島空襲を記述するべきであった」と述べている。

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