ダムの水を待つ重井東部ほ場【下】17年越しにダムは完成したが因島の専業農家は後継者不足

重力式コンクリート堤幅106メートル

完工した奥山ダムはコンクリートの重さで貯水の水圧を支える「重力式コンクリートダム」で、断面形状は三角形を成し一般的な型式。上流堤の幅は106メートル。ダムの底から一番高いところは33メートルで8階建てのビルの高さ。満水面積は3ヘクタールで27万7千立方メートルの水を溜めることができる。

水源は湖底の奥山大池と導水路で大山新池からダムへ水を入れる仕組みになっている。


尾道市因島総合支所産業振興課内に設置された奥山ダム監視モニター


昨年11月から尾道市因島総合支所の産業振興課にダムの貯水状況を調査するテレビモニターを設置、監視しているが現在の貯水量は40%で梅雨季の満水を期待している。ダムの型式は自由越流式で危険水位に達する非常事態にはサイレンなどで下流住民に知らせ市職員や消防団貞などが警戒に当たる。

経済効果7億6千万

農業離れの社会環境のなかでの農業用水確保を目的としたダム建設であったが、本体工事は完成した。今年度から送水管を埋設する工事が始まる。事業費は初年度4億8千万円で因島中庄町の油屋新開2.4キロメートルの幹線送水管と仁井屋新開を結ぶ支線1.7キロメートルの計4.1キロメートルのパイプを埋設する。給水開始は2010年4月の予定で農家80戸、26ヘクタールの畑地がうるおう。これまで給水が少なくても生産できる葉タバコ生産が多かったが新しい農産物のブランド化を試作する動きも出ている。

引き続き次年度で重井東部ほ場までの5.3メートルの幹線パイプを埋設。ダムから送られた水を一時的に貯留して畑地へ送り出すファームポンドを2か所に設置、パイプラインを完了する。給水開始は12年春の予定。段々畑の給水施設を待ち望む受益農家は100戸、18ヘクタール。

雨が少なく大きな川もない因島の農家にとって農業用水ダム建設は福音だが恩恵を受ける農家は因島地域の1200戸、4千人のうち188戸、436人、作付面積151ヘクタール。年間10アール当り4千円の負担金が必要だが、県の畑地帯総合土地改良事業による経済効果所得額は7億6千万円とはじいている。

東部ほ場の水溜め兼用の沈砂池

農家の難問山積 専業農家半減

一部の農家の水源確保ができたからといって農業離れに歯止めがかかったというわけでない。ダム建設に夢を措いた17年前の旧因島市の農家は2312戸、8543人。このうち専業は697戸、1615人だった。古くから長男が農家を継ぐ習わしになっているから後継者不足にならないはずだが約10年で専業農家は半減した。道路などインフラ整備は通勤条件を可能にして農業からサラリーマンの転職に拍車をかけた。農家に嫁ぐ女性が減り独身男性が増え少子高齢化、人口減少が止まらない。

頭が痛いイノシシ対策

その一方で斜陽産業といわれていた造船業界が30年ぶりの復活で今、因島は活気を取りもどし農家にとっては逆風になっている。かつてのじい、ばあ、かあちゃんの「3ちゃん農業」から「2ちゃん農業時代」になったとなげき節が聞かれる。さらには予想もしなかったイノシシ被害が日を追って拡大、農家にとっては深刻な問題となっている。数年前までは隣接の生口島でイノシシ被害が問題になっていたが「対岸の火事さわぎ」と軽視していた。ところが海を泳いでやってきたイノシシファミリーが最初のねぐらにしたのが奥山ダム付近だったという。

4ヵ月の猟期に62頭捕獲

現在、何頭繁殖しているか実数はつかめていないが昨年11月から今年2月にかけての4か月間の猟期だけで62頭がワナにかかり捕獲されている。ちなみにイノシシとカラスによる農家の被害額は年間1500万円と市は試算。これといった妙案はない。

だが、中山間地域の過疎地域に比べ企業誘致も進み、都市に住む人の中にも、田舎暮らしがいいと考える人もでてきており、産業体験事業に農業を組み込む声もでてきているが流れを変えるにはまだ時間がかかりそうだ。

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