この広き地平の中の一隈(くま)に小さき夢を追いつつ生きる

西本としゑ
 初句に「広き地平」という言葉が登場する。まことに視野の広い詠風で、時代は歌とともにあり……


 しかし、作者は舞台を「地平の中の一隈(くま)」と限定され、途端に一地方都市、ある家庭……という順で舞台は急転し、一首は巨匠小津安二郎監督の雰囲気を帯び、「小さき夢を追いつつ生きる」という庶民の善意にいたる。
 それでは軸足を「小さき夢」に置いて、詩的想像の世界を覗きましょう。
 「小さき夢」は「歌意」により「日常の生活」と解釈。また「日常の生活」を小さいとするのは、天下・国家・宇宙と比べての話だが、「日常生活」の話題は壮大であって欲しい。何故なら少年少女は壮大な話題から志を広げるかも知れぬから……
 さて「日常生活の夢」を「今夜は生きのいい刺身を食べよう」としてみよう。
 「どうせなら美味しい刺身」……それなら海の神・恵比寿さんに願うてみよう……作者は沖の潮色を遠望み……魚屋さんの電話番号はと……
 舞台は夕餉の食卓
 某「A君は大きゅうなったら何になるンかのウ」
 孫「ボクは海博士になる……海博士になって海を元気にするンじゃ……海には魚がいるようにするンじゃ」
 人は人柄……。
 人柄のよい「ひとこと」は聞く者の心にしみこむ。
 人柄がよければ人が集まり、人が集まれば文殊の智慧が生まれ育つ。
 作者の『小さき夢を追いつつ生きる』という現実肯定は孫・曾孫の人柄や夢を育み、彼らは平和と善意に裏付けられた社会を築くに違いない。
 私だって今からでも遅くはない筈、小さな小さき夢を追っかけたい。
(文・平本雅信)

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