指太く土に馴染みし両の掌をハンドソープの泡に包めり

河内せい子
 両の掌を…までの上句の充実感が、下句の泡に包まれた未知の発見につながり、生活のなかのロマンが、とても楽しい。


 その日も作者は畑仕事で汚れた手をハンドソープの泡で包み洗う。すると、泡の中の掌や指先が思ったより白く、更に見つめると十本の指先が泡の中で妖精のように舞い、手ぬぐいを使い終わると妖精は消えた。かくして、作者は炊事にとりかかるが、心は満ち足りている。何故か……
 それでは軸足を「土に馴染みし」に置き、詩的想像の世界を覗きましょう。
 土壌とは地殻表面の岩が風化・崩壊したものに腐植などが加わり、気候や生物などの作用を受けて生まれたもので、ひとつまみの土の中にさえ無数の微生物が生きている。
 だから、土の付いた手を洗うことは、その土で生活していた無数の微生物の環境を激変させる。逆に、人の健康面からいえば手洗いは衛生管理上省けない。
 このような「あちらを立てれば、こちらが立たず」の収拾は詩人に任せよう。

 そこへゆこうとして/ことばはつまずき/ことばをおいこそうとして/たましいはあえぎ/けれどそのたましいのさきに/かすかなともしびのようなものがみえる……(谷川俊太郎)

 作者が見た「ともしびのようなもの」は手洗い時の妖精であろうか……。おそらく否だ。想像するに「宇宙船地球号的な共生」と思われる。
 太陽を一年で一周し、数え切れぬ生物種を養い、破滅を避ける地球は、多くの生命を養いながら青く輝く。その輝きこそ、作者が手を洗うとき、その心を満たす『かすかなともしびのようなもの』ではあるまいか。

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