尾道市 因島フラワーセンター 再生の道探る園芸花海道 指定管理者制で再スタート

 平成の大合併の尾を引く旧因島市。尾道圏への編入合併の道を選び、どうしても片付けておかねばならない重要課題がいくつかあった。


 その中の一つに県立フラワーセンターの管理運営があげられる。1980年代に造船業界の構造的不況から因島が「島が沈む」とまでいわれた不況下に県が20億円を投じて花き栽培産業振興と観光を目的に建設したのが同センター。
 当時の竹下虎之助広島県知事は1兆円産業と注目されていた花き栽培の仲間入りを目指す拠点づくりとして向島洋らんセンター、因島フラワーセンター、瀬戸田シトラスパークを結ぶ「園芸ベルト構想」を打ち上げた。
 夢の架け橋「しまなみ海道」に乗ってテーマパークは観光ブームを謳歌した。それも御多分に漏れず一過性に終わり赤字経営に転落。
 テーマパーク時代に赤信号が点り始めると行財政改革の追い打ちもあって県は地方へ移管方針を掲げた。
 お荷物を背負った尾道市は指定管理者制度を導入して運営を民間参入に委ねて「官から民へ」。そして今年4月1日再スタート。
 変わり映えのしない施設に不安を抱えながらゴールデンウィークを迎え期間中約1万人近い来園者で関係者はホッと一息。いくつかの課題は残ったがまずまずの結果を残した。
海島博でオープン
 県立因島フラワーセンターの開園は1990年。当時の因島市はオイルショックに続く造船不況の波をもろにかぶり、あえいでいた。造船マンや関連企業の離職者は島を離れていった。県は不況対策の一つとして因島重井町にあった県立農業試験場1万8千平方メートルにフラワーセンターを建設した。観光振興と離職者対策を目的とした花き生産振興、農家育成による地域の活性化の一助を狙った。
 工事は90年の海島博に照準を合わせて進んだ。水軍の帆船を型どった鉄骨平屋建て延面積5千平方メートルの大温室には目を見張った。温室内は常夏の珍しい植物である熱帯スイレン、オオオニハス、カカオ、月下美人、バナナの木など200種、約5千本の植物が運び込まれた。甘い香りに包まれる洋らんコーナーは女性の溜め息がもれた。
 5千平方メートルの芝生広場は海島博東部メイン会場としてのステージが仮設され、モアイ像が立ち、南太平洋のフィージーからダンサーがやって来て椰子の実の生ジュースをサービスするなどし、観光客もさばき切れないほど繰り込んだ。
官から民へ
 開園から10年余り過ぎた2004年、県立フラワーセンターの地元移管を県が提案、当時の因島市は年間6~7千万円に上る赤字負担をめぐり対応に苦慮した。
 県は財政健全化に加え、因島の観光施設というイメージが定着した、さらに造船不況対策という所期の目的は果たせた―と移管の理由を説明する。もっとも、同センターを所管していたのは財団法人県農業開発公社で、県が出資する特殊法人見直しによる行財政改革の一環にかかわることだった。
 管理運営費は年間約1億1千万円。入場料収入は約4千万円で、赤字分の3分の2を県、3分の1を市が負担してきた。これまでの入園者数は「しまなみ海道」が開通した1999年度が30万人を超えたもののその後は下降線をたどった。こうした背景のなかで因島への移管を前提としつつ県と市の協議が進められた。
4月再出発
 移管協議の結論を先送りしているうちに旧因島市は尾道圏への編入合併を決め、フラワーセンター移管問題を尾道市が引き継ぐことになった。県は尾道市に、今後10年間、花公園として管理運営することを条件に土地や大温室など同センターを無償譲渡することを決めた。それに加え、管理運営の補助金として約1億5千万円を提示した。さっそく昨年9月1日から尾道市因島フラワーセンターは改修工事にかかり今年4月1日にリニューアルオープンした。
管理者「イデオ」
 県から因島フラワーセンターの管理運営を移管された尾道市は民間のノウハウを導入することを決め「指定管理者」を募集。書類審査と面接により最優秀提案者として広島市の(株)イデオを指名した。同社は(株)イズミグループ各社や官公庁の警備・環境部門など幅広い営業を展開。レジャーの部門では尾道市御調町の「みつぎグリーンランド」を管理運営している。ところが、花という生き物を管理するのは初めてという。
 5月3・4日は「因島フラワーまつり」が開かれたが、地元の因島物産協会や花き園芸組合が特産品や花苗を即売。4日はアンパンマンショーなどのイベントを計画したが同時開催した因島アメニティ公園まつりに軍配が上がった。

岐路に立つ花公園
 県は、しまなみ沿線のテーマパーク総崩れの現状から移管か、閉園かーの二者択一を提示してきた。国内初のかんきつのテーマパークという触れ込みでオープンした瀬戸田町のシトラスパーク。5年後に経営が悪化、第3セクターの運営会社がさまざまな手だてを講じたが赤字拡大は止まらなかった。3セクの同種施設の多くは自治体から委託料が入る。収入のほとんどを入園料に頼る今のやり方に無理があるのではなかろうか。
 因島フラワーセンターの入園者は平成15年度に開園以来200万人を達成した。だが、運営母体は赤字つづき。必要経費の主なものでは年間、電気代360万▽水道代330万▽重油代550万▽花苗代など2千万円。このうち指定管理料は最高2550万円以内だから約700万円の入園料の収入がないとやっていけない。もっとも、これでは県の補助金1億5千万円を5年余りで食い潰すことになる。
 カスケードの小滝のせせらぎ、シェルターの水も白い玉砂利に変えて節水。
 「官から民へ」という行政改革と規制緩和が必要になったという視点と、住民ニーズが多様化するなかで「公共サービスの質の向上とコスト削減」が求められ、指定管理者制度はこれからも重要な課題を抱えている。

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