因島で見た野鳥【154】イカル

写真は、石田憲ニさん(因島土生町)が、今年2月に、因島で撮影したものである。

クチバシは黄色で太い。頭と尾は黒く、翼の大部分は黒く、初列風切の中央部に白斑がある。体の残りの部分はだいたい灰色である。これは、アトリ科の一種のイカルである。

因島で今までに観察されたアトリ科の野鳥は、アトリ【本連載68】、カワラヒワ【69】、シメ【70】の3種で、いずれも、イカルのようにクチバシが大きい。これは、アトリ科の野鳥の特徴である。

イカルは、ニレ科などの木の実を食べ、硬い繭(まゆ)をクチバシでつぶして幼虫を食べる。雌雄同色である。イカルの全長23cmで、シメ(全長18cm)より大きい。いずれも、太った体つきに見えるが、シメの頭と頬は褐色でクチバシは淡褐色あるいは鉛色で、イカルとシメの識別は容易である。

Birdlife Internationalによれば、イカルの生息分布は以下の通りである。関西地方を含めた西日本では留鳥で繁殖し冬季も生息する。中部地方も含めた東日本・北海道、樺太、中国とロシアの日本海側では、夏に繁殖し冬季には南に移動する。東南アジで越冬する個体もいる。世界中の非常に広い範囲にわたって漂鳥あるいは旅鳥として分布しており、絶滅の危惧は少ない。日本で繁殖するペアの数は、おおよそ1万~10万とされている。

足環をつけた移動調査(鳥類アトラス)では、3,233羽が放鳥され10羽が国内でのみ回収され、2008年2月28日に長野県で放鳥された個体が、775km離れた熊本県で2011年4月3日に捕獲され、これが最長移動距離であった。

鳥名の由来辞典(柏書房)に次のような解説がある。

万葉集巻13、3238に、「いかるが(イカルの古語)」と「ひめ(シメの古語)」がうたわれており、イカルは、奈良時代から「いかるが」として知られ、室町時代から「いかる」と呼ばれるようになった。

大きなクチバシで、かたい実を口のなかで回しながら割って食べるので「豆まわし」の異名もある。

聖徳太子ゆかりの奈良県斑鳩(いかるが)町との関連は不明である。昔は、イカルもシメもみじかな鳥であったのであろう。

英名では、japanese grosbeak(日本にいる異常に大きいクチバシの鳥)とされている。

イカルの写真を提供していただいた石田憲ニさんに謝意を表します。(3月1日・記)

文・松浦興一 写真・石田憲二

因島で見た野鳥【68】アトリ

因島で見た野鳥【69】カワラヒワ

因島で見た野鳥【70】シメ

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