村上水軍の「軍楽」の研究【22】第二章「軍楽」史の考察

『吏徴』において太鼓と貝に専門の役職が置かれているのに金の役職がないことから、この頃には金があまり重要視されていなかったか、使用されていなかったことが考えられる。音具を使用する目的としては、やはり兵士の士気を上げ、軍を統一することが挙げられる。また、合図としての役割も大きく、この頃になるとその役割は明確になり、より細かい命令を送るようになっている。


図を見てみると、音具を使用する役職は大将の近くに置かれている。これは大将の命令を全軍へ伝える役割であったからだと思われる。また、その数は一つの陣で太鼓一張り、貝一口といった程度で置かれていたことが解る。

以上のことをまとめると、戦の中で音具を使用する目的は、一つ目に兵士の士気を上げることで軍を統一すること、二つ目に全軍へ合図を送ること、この二つが主な目的であったことが解った。また、史料の中で兵士の士気を上げる際に音具で音を出すほかに、兵士の掛け声についての記述もあった。これは、兵士の鼓舞だけではなく、敵兵への威嚇の意味もあるように思われる。合図については、時代を経るほど詳細に記述されていくようになっている。合図は、開戦であったり、進軍、退軍、といった大まかな合図だけではなく、兵士の起床や食事などの合図を送ることもあった。これにより、戦において音具が重要な役割を担っていたと言えるのではないだろうか。


第三章『三島流水学軍用集並同抄』から見る村上水軍の音の記述

  • 第一節『三島流水学軍用集並同抄』について

本節では、今回翻刻を行った『三島流水学軍用集並同抄』について述べる。この史料は、東京大学駒場図書館のホームページで公開されている大日本海志編纂資料の一つである。大日本海志編纂資料については第一章で述べた通りとなっている。『三島流水学軍用集並同抄』では主に戦で使用したと思われる道具について書かれており、その中の鯨波(月)勝凱之事、大皷之事、貝之事、鐘之事の四章を翻刻した。この史料の原本がいつ頃成立したのか、詳細は不明である。また、その原本は発見されていない。

神戸大学国際文化学研究科 山本詩乃

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