因島で見た野鳥【149】キビタキ・メス

キビタキはヒタキ科の一種で、全長13.5cm。スズメ(全長14.5cm)より小さい。バードウオッチングで人気の野鳥の一つで、オスのキビタキが因島で観測されたことは、本連載【144】キビタキで紹介したが、キビタキ・メスと思われる野鳥も観測されたので紹介する。

キビタキのオスは、【144】で述べたように上面が黒いが、眉斑、腰や下面が鮮やかな黄色で目立つ。これが「黄火焼(きびたき)」の名前の由来であるが、メスの羽衣に黄色は無い。写真①②は同一個体の上面と下面で、キビタキ・メスと思われる。

上面は全体的に褐色で、肩羽と背はオリーブ色(暗い黄緑色)がかり、尾羽は茶色がかる。下面は淡褐色で喉下は白く見える。オスの第1回冬羽(今年春に生まれて冬を迎えた幼鳥)は、メス成鳥によく似ている。写真の個体がオス幼鳥である可能性もゼロではないが、羽衣はメス成鳥の特徴と一致しているので、メスとして紹介する。【145】で取り上げたオオルリのメスともよく似ているが、オオルリ・メスの肩羽は茶色でオリーブ色味はなく、クチバシの先端の形もキビタキとは異なる。

キビタキ・オスが観測されたのは6月中旬で、キビタキ・メスは同じ年の10月初旬に見た。キビタキは夏鳥で日本で繁殖し、主として東南アジアに渡って越冬する。因島で見たキビタキのオスとメスが因島で出会っていたのか、たまたまメスが渡りの途中に因島に立ち寄ったのかは分からない。多分、後者のケースであろう。

鳥の鳴き声は、一般に、「さえずり(song)」と「地鳴き(call)」に分けられる。さえずりは、繁殖期にオスが縄張りを主張したり、メスへの求愛のために発する鳴き声で、地鳴きは、オス・メスが季節にかかわりなく鳴く短く単純な鳴き声である。ウグイスなら「ホーホケキョ」が「さえずり」で、「チャッ チャッ」が「地鳴き」である。

ヒタキ類の多くは、地鳴きで、「ヒィッ ヒィッ」と鳴く。【143】コサメビタキで、「ひたき」という鳥は平安時代にすでに知られていたと述べた。ヒタキの和名の由来については、幸田露伴が、地鳴きの音から「ひたき(火焼)」となった”(鳥名の由来事典)とし、

“地鳴きの音が、火打石を叩く音に似ており、火叩きまたは火焚きと呼ばれた”(三省堂 世界鳥名事典)との説もある。(10月16日・記)

写真・文 松浦興一

因島で見た野鳥【143】コサメビタキ

因島で見た野鳥【144】キビタキ

因島で見た野鳥【145】オオルリ

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