因島で見た野鳥【141】羽毛の色と構造色その1

ほとんどの哺乳類は夜行性で、体毛の色はメラニン色素による地味な色合いであるが、昼行性の昆虫や鳥は多彩な色をしていることが多い。

これらの色の発色には、主として、色素による太陽光の反射と羽の微細構造による太陽光反射の2種類がある。

今回の「その1」で太陽光の性質と色素による反射光の様子を述べ、次回の「その2」で構造色の性質について述べる。

光は、電磁波という波で、波長ごとの光の強さを光スペクトルという。

太陽からの光は、その一部が地球の大気でさえぎられるので、地表に到達する光スペクトルは太陽光スペクトルとは少し異なる。

図①に太陽光と地表面でのそれぞれの光スペクトルを示す。

ここで、波長の単位「nm(ナノメートル)」は、1ミリメートルの千分の1のさらに千分の1の長さである。

人間が見える可視光線は、おおよそ380nm~700nmの範囲で、虹を表す七色でいえば、短い方から、紫、藍、青、緑、黄、橙、赤色となる。光強度が高い波長域が可視光なのは、それを利用するようにヒトが進化した結果であろう。

700nmより長い波長の光は赤外線と呼ばれる。

380nmより短い波長は、紫外線と呼ばれ、日焼けや皮膚ガンの原因となるが、ビタミンDの生成にはわずかではあるが必要である。

300nmより短い紫外線は生物には極め有害である。太陽光には、この有害な紫外線があるが、大気の高層にあるオゾンでさえぎられ、地表には届かないため、生物は地上で繁栄できる。

主題とは少し離れるが、1970~1980年代には、冷媒などに使うフロンガスなどで、オゾン層が急速に破壊され大きな環境問題になった。その後、フロンガスなどの放出が禁止されたが、現在でもオゾン層は完全には回復していない。

ここで、太陽光スペクトルは、太陽の温度5900Kの黒体輻射(ふくしゃ)スペクトルで求め、地表面の太陽光スペクトルは、R.M.GOODY(ATMOSOPHERIC RADIATION I,p.4,OXFORD,1964)の大気吸収スペクトルと図1の太陽光スペクトルを用いて求めた。

色素による羽毛の反射スペクトルのデータが入手できなかったので、吉村晴佳による緑色の葉、黄葉、紅葉の反射スペクトル
(J.Jpn.Soc.Reveget.Tech. 26,327~336,2001)と図1に示した地表面での太陽光スペクトルを用いて反射光スペクトルを求め、これらを生体の色素による反射光スペクトル例として図②に示した。

例えば、緑色の葉は、主に葉に含まれる色素(クロロフィルやカロテノイド)の吸収により反射光強度が低くなっているが、540nm付近にある幅の広い反射光の山により、ヒトは葉を緑色と認識する。

黄葉や紅葉の反射光スペクトルにもさまざまな色の光を含んでいるが、その含み具合で、それぞれ黄葉や紅葉の色彩として認識する。
羽毛の主要な色素は、メラニン、カロテノイド、ポルフィリンの3種で、メラニンは灰色、黒色、茶色と淡黄色などの茶系の色合いを作り、カロテノイドは黄色、オレンジ、赤などと青・緑色を作り、ポルフィリンは茶、緑、紫紅色などに関係している(F・B・ギル:鳥類学)。(6月11日・記)

文 松浦興一

[ PR ]ピザカフェつばさ

因島の美味しいピザ屋「ピザカフェつばさ」

みょーんと伸びるチーズとこだわりの生地を溶岩石窯で一気に焼き上げます。
テイクアウト歓迎。

尾道市因島土生町フレニール前(旧サティ因島店前)
TEL 0845-22-7511

平日・土曜日 11:00~22:00
日曜日・祝日 11:00~14:00