因島で見た野鳥【140】チュウシャクシギ

写真①は、渡邉千史さんが因島で撮影したチュウシャクシギの写真である。シギ科の鳥は多様である。

写真①チュウシャクシギ(撮影:渡邉)

クチバシが長くてほぼ直線状のタシギ、セイタカシギや、クチバシが反(そ)り返って上に湾曲しているソリハシシギ、オオソリハシシギ、クチバシが下に湾曲しているダイシャクシギ、ホウロクシギ、シロハラチュウシャクシギ、ハリモモチュウシャクシギ、チュウシャクシギ、コシャクシギなどがその例である。

写真①のシギは、クチバシが明らかに下に湾曲しており、上の6種が考えられるが、頭の大きさとクチバシの長さの比からシロハラチュウシャクシギ、ハリモモチュウシャクシギ、チュウシャクシギのいずれかとなる。

写真①の個体には腰から腹部にかけて横(背骨に対して直角)斑が明瞭で、チュウシャクシギと判断できる。

参考のために、吉田敬一郎さんと慶子さんが松永湾で撮影したチュウシャクシギを写真②に示す。

写真②チュウシャクシギ(撮影:吉田)

筆者は、まだ因島でチュウシャクシギを見たことはないが、渡邉さんの写真で、因島でもチュウシャクシギを見る機会があることを確認できた。
チュウシャクシギは、全長42cmの大形のシギで、雌雄同色、上面は黒褐色で淡褐色の斑点がある。

筆者は、まだ因島でチュウシャクシギを見たことはないが、渡邉さんの写真で、因島でもチュウシャクシギを見る機会があることを確認できた。

チュウシャクシギは、全長42cmの大形のシギで、雌雄同色、上面は黒褐色で淡褐色の斑点がある。

日本では旅鳥、東南アジアからオーストラリア沿岸で越冬し、ユーラシア大陸北部で繁殖し、春と秋に越冬地と繁殖地を往復する際に日本に立ち寄る。

環境省自然環境局生物多様性センターで、シギ・チドリ一斉調査が続けられている。天野一葉の論文(地球環境Vol.11No.2 215-226,2006)に一斉調査の結果を用いた1974~2003年間のシギ・チドリ類の記録数の表があるが、その一部と2018~2020年のデータを用いて筆者が作った、チュウシャクシギとコチドリの1年あたりの平均記録数(春季)を表①に示す。

表①春季に観察された個体数(羽)

これによると全国では、コチドリの10~20倍程度の数のチュウシャクシギが記録されている。

因島では、少なくともほぼ毎年数羽のコチドリ(全長16cm)が観測されているが、チュウシャクシギは殆ど観測されていない。

チュウシャクシギは大形で、採餌のために広い干潟を要し、広い干潟がない因島には、飛来しにくいのかも知れない。

因島から遠くない場所でも広い干潟がある瀬戸内海沿岸部には多数のチュウシャクシギが飛来しているようである。

チュウシャクシギの「シャク」は、「柄杓(ひしゃく)」のことである(中村登流著 野鳥図鑑水鳥2、保育社、1986)とあり、長いクチバシを柄にたとえれば、納得のいく説である。

しかし、菅原・柿澤著「鳥名由来辞典」によれば、「奈良時代からの鳥名に”さくなぎ”がある。

江戸中期の観文禽譜に、”しゃくなぎ”は”杓しぎ”のことで、”さくなぎ”は、”しゃくなぎ”から変化したものとあるが、”さくなぎ”の方が”しゃくなぎ”より古い名前なので、”杓しぎ”と言い切ることは難しい」とのことである。

写真を提供して頂いた渡邉千史さん、吉田敬一郎・慶子さんに謝意を表します。(5月23日・記)

 松浦興一、写真 渡邉千史(因島中庄町)、吉田敬一郎・慶子(瀬戸田町)

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