村上水軍の「軍楽」の研究【2】

第一章 村上水軍の概観

第一節 村上水軍について

一の一 海賊とは

本節では村上水軍の歴史の概観を見ていこうと思う。村上水軍という語だけ見るとまるで政治権力の下で戦う軍事集団のように思われるが、元は土着の海賊である。それがどのようにして水軍と呼ばれる存在にまで至ったのか、また歴史の中でどのような役割を持った存在であったのかを見ることが本節の目的であるが、その前に、村上水軍に限らず歴史上における海賊の役割とその変遷について、先行研究を基にまとめてみたいと思う。

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表1 海賊の四つのタイプの相互関係(山内2005年9月)


海賊とは、その字の通り捉えるのであれば「海の賊」であるが、実際には賊だけではなく多様な側面を持つ者達であったと言える。歴史上においての海賊の役割については、山内譲の『瀬戸内の海賊――村上武吉の戦い』(2005)の中で、略奪者としての海賊=土着的海賊、反逆者としての海賊=政治的海賊、安全保障者としての海賊、水軍としての海賊の四つに分類されている。また、山内は同書の中でこの四つの側面の相互関係を次の表一のように示している。

この分類を基に、山内は次のように考察している。「どのタイプの海賊像も歴史的に形成されたものであり、時間と共に推移していく。史料上に登場する海賊の語をタイプ別に分類し、時代順に整理してみると、海賊の歴史的変遷について大まかな見通しを得ることができる。それによると、土着的海賊、政治的海賊が古代から存在するのに対して、安全保障者としての海賊、水軍としての海賊が、中世後期になってから登場する新しい海賊であることがわかる。これは言い換えれば、古くはもっぱらマイナスイメージで捉えられていた海賊が、中世後期以降になってプラスイメージで捉えられる場合も出てきたということになろう」(山内2005年9月10日)

また、海上交通や権力とのかかわりについても考察しており、前者については「土着的海賊の中から有力な者が安全保障者としての海賊に成長」したとして、後者については「最初は権力に抵抗する政治的海賊であった者が、しだいに権力に接近して水軍としての海賊に変わっていく」と考察している。(山内2005年10月)

神戸大学国際文化学研究科 山本詩乃

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