因島で見た野鳥【133】シロエリオオハム

渡邉千史さん(因島中庄町)と清水悦治さん(因島三庄町)が、因島の海岸で1羽の見慣れぬ鳥を見つけ、その知らせで駆けつけ撮ったのが、写真①写真②である。

潜水を繰り返しながら、次第に沖合に遠ざかっていった。これは冬羽のシロエリオオハムで、因島で初見の鳥である。

シロエリオオハムは、アビ科の1種(世界で5種)。アビ科で西日本に渡来するのは、アビ、シロエリオオハムとオオハムの3種で、いずれも冬鳥である。この三種の嘴は黒くて先が尖り、首は太くてやや長い。雌雄同色。

夏羽の羽衣は種によって異なり、羽衣で識別できる。冬羽では三種とも、頭、後頸と上面が黒褐色、前頸と下面が白である。アビの上面には小さな白斑点が目立つが、他の二種には、白斑点は少ない。全長は、アビ、シロエリオオハム、オオハムが、それぞれ、63・65・72cmである。単独でおれば、冬羽の羽衣や大きさでの識別は容易ではない。特に、シロエリオオハムとオオハムの識別は難しい。シロエリオオハムには、喉に一本の黒い横線があり、他の二種にはない。この横線は見えない場合も多いが、写真①②ではそれを明確に確認できるので、写真の個体はシロエリオオハムと同定できる。

アビ科の鳥は、みずかきのある足が体の後方にあり、潜水は得意で水深80メートルぐらいまで潜ることができ(中村登流・中村雅彦著 原色日本野鳥生体図鑑〈水鳥編〉保育社)、魚などを捕食する。

水面を蹴って助走して飛び立ち、時速100キロメートルで飛び続けることができる(三省堂世界鳥名事典)。

歩くのは苦手で、腹を地面につけて這うようにして移動する。

オオハムのハムの語源は、魚を「食(は)む」にあると考えられ、昔は、アビ、シロエリオオハムを「こはむ」、オオハムを「おほはむ」と呼んでいた(菅原・柿澤著 鳥名由来事典、柏書房)。

海上でよく見る大型の水鳥は、カモ類の嘴はヘラ状、カモメの上面は灰色で白っぽい、カンムリカイツブリの首は細く長い、カワウの嘴は黄色で先がカギ型で、アビ類とは識別できる。

かっては呉市豊浜町付近の海で、「あび漁」あるいは「鳥持網代(とりもちあじろ)」という伝統漁法が行われていた。アビ科の鳥が追い込んだイカナゴの群れを、タイやスズキが狙い、それを釣り上げる漁法である。1931年に豊浜町周辺の海域が、「アビ渡来群遊海面」として国の天然記念物に指定され、1986年に広島県の鳥として「アビ」が選定された。現在は、「アビ」の渡来も稀で、アビ漁も行われていない。

この「アビ」は、アビ、シロエリオオハム 、オオハムの総称とされており、シロエリオオハムは広島県を象徴する鳥の一つである。日本の国鳥はキジ。ウクライナの国鳥は、ヨーロッパコマドリを国鳥とする説もあるが、ナイチンゲー(common nightingale)で、和名はサヨナキドリ、ヨナキウグイスで、夕暮れや夜明け前に美しい声で鳴く。

渡邉千史さんと清水悦治さんに、シロエリオオハムの渡来情報提供に関して謝意を表します。(3月23日・記)

文・写真 松浦興一

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