因島で見た野鳥【131】カワセミ まぼろしの魚影を追う(?)

すでに本連載【50】でカワセミを取り上げたが、カワセミを見たい人は多い。理由の一つは、美しく輝く羽衣と思われるが、これは構造色による。このことは別の機会に取り上げる。カワセミのもう一つの魅力は、一直線に水面に飛び込み魚を捕獲する俊敏な姿であろう。
カワセミは、空中に停止(ホバリング)したり、水面に張り出した枝に止まって、魚を見つけダイビングして捕獲する。

写真①は、カワセミがホバリングで魚を探しているところで、

写真②は、魚めがけて急降下を始めたところである。

写真③は、木の枝で魚を探しているところで、この後ダイブする。

よく経験するが、水中に斜めに入った棒などが浮き上がって見える。これは光が水と空気の境界で屈折するからである。カワセミも、浮き上がって見える魚(虚像)を見ているので、それをめがけてダイビングしても、的を外すことになる。どのようにして魚を獲るのか不思議である。前置きが長くなったが、魚の虚像がどこにでき、どうやって魚を捕獲するのかを考察する。

に、空中から水中の魚を見ている状態を示す。

図 カワセミが見る虚像

魚(実像)から反射した光(実線で示す)でカワセミは魚を視認する。魚からの光は水中から空気中に出る時に屈折するので、カワセミは、点線で示した方向に魚(虚像)が見える。虚像の位置が点線のどこかを知るには、面倒な計算が必要だが、「中川のビジュアル物理教室」で、その位置を求めることができる。

水上1メートルのカワセミが1メートルほど前方に水面下20cmの魚を見たときには、虚像は、実像よりカワセミ側に水平方向で3cmほど近寄り、垂直方向で10cmほど浮き上がって見える。この魚を真上から見ると、虚像は水平方向には移動しないが5cm浮き上がって見える。カワセミが虚像をめがけて飛び込んでも、そこに魚はいない。

鳥には、人間と同じように上・下に瞼があり眼を保護するが、それ以外に、目頭から目尻の方向にカーテンのように広がる「瞬膜」がある。「瞬膜は、潜水性の鳥では水中眼鏡の役割も果たし、カワセミなどは、水中に飛び込んだ後も狙った魚に焦点を合わせ続けることができる(フランク・B・ギル : 鳥類学)」そうである。

鳥は、しばしば、瞬膜で目を覆うが、写真④は、写真③のカワセミが瞬膜で目を覆ったところである。

写真④瞬膜を閉じたカワセミ

上述のことから筆者の想像を述べる。カワセミは、虚像をめがけて飛び出し、出来るだけ真上に近いところから水中に飛び込み、実像の魚を目指す。運に恵まれなかった魚が捕食され、カワセミはハッピーとなる。常識的な結論と同じで、仰々しく、実像、虚像などを持ち出さなくてもよかった気もするが、筆者はこの考察で、ちょっとだけ、すっきりした気分になれた。

カワセミは、水に飛び込んでは獲物もなく枝に戻り、すぐまた水に飛び込み、繰り返すことがある。これは、カワセミの水浴びである。(2月24日・記)

文・写真 松浦興一

因島で見た野鳥【50】カワセミ

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