因島で見た野鳥【118】カイツブリの子育て②

図①に、3番子について産卵から孵化、独立までの過程を、日付で示す。

5月31日に、3番子になる卵1個を抱卵をしていた。15日ほど前に孵化した3羽の2番子には、抱卵が始まっても親鳥が給餌している。

最初の産卵から2週間後(6月14日)に卵が2個になり、その2日後に3個目、さらに4日後(6月20日)に4個目が産卵された。他の場合には、ほぼ10日間に3~4個の卵を産み終えたが、3番子の場合には、20日余りを要した。その理由はよく分からない。産卵直後の卵は白色だが、数日で褐色になる。カモフラージュのためであろう。ペアで抱卵を交代するが、巣を空けるときは、枯れ草で卵を隠す。

最後の卵が産卵された翌日(6月21日)に、最初の卵が孵化してヒナ(3番子の長子)が生まれた(写真①)。

写真①3番子長子誕生(6月21日)

抱卵中には、給餌を受け、巣上の親に擦り寄る2番子もいたが、長子が孵化後には、巣に近寄る2番子を親鳥が威嚇して3番子長子に近づけないようにし、給餌もしなくなった。この頃から2番子は、飛ぶ練習を始める。

長子の孵化後、さらに、ほぼ2週間経って、次々と4日間で次子、3子、4子が孵化した(7月8日)。最初の産卵から全卵孵化までの期間は、約40日である。

3番子の孵化が進むに連れ、次第に2番子の数が減り、全卵孵化した7月8日には、全ての2番子が池から出ていた。

親鳥がエビや小魚を口にくわえて浮き上がると、ヒナは一直線に親に近寄り、口移しで餌を貰う。この時、親鳥はヒナが餌を飲み込むまで注意深く見ているように見える(写真②)。

写真②小魚を食べるヒナ

日が経つにつれ、親鳥は、餌を口にくわえたまま、近寄るヒナから遠ざかり、追いついてきたヒナに給餌する姿が見えるようになり、給餌を最後に見たのは全卵孵化して20日ほど経過した7月29日である。この間ヒナは飛行練習をし(写真③)、8月6日にはヒナが2羽となり、親鳥もいなくなった。

写真③ヒナの飛行練習

2羽のヒナだけが池に残されたが、やがて、2羽のヒナも池から出て行った(8月17日)。それと、入れ替わるように2羽の成鳥が現れ、4回目の繁殖を始めた。

最初の孵化から次の孵化まで2週間も経過し、親が抱卵を放棄するのではないかと心配したが、無事に全卵孵化した。おそらく成長する胚の動きなどを親鳥は感知して抱卵を続けてたのであろう。2番子までは、親が孵化したヒナを守るために威嚇・攻撃し、それが独り立ちを促すことの一つになったと思われるが、3番子の場合には、次の繁殖に空白の期間があり、ヒナを守るための威嚇・攻撃の動機がなかった。親鳥が池を出て行ったことが、ヒナの独り立ちを促す動機の一つになったとも考えられる。人であれば、独り立ちを促す為に親が家出することかなと思い、あまりにも安直な思考と思い直したが、昔は隠居制度があったとも思った。(11月28日・記)

文・写真 松浦興一

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