因島で見た野鳥【117】カイツブリの子育て①

カイツブリはカイツブリ目カイツブリ科の一種で、全長26cmで、因島では年中見ることができる、よく知られた水鳥である。本連載【13】で、子供を背負いながら子育てをしている写真を紹介した。

筆者が鳥に興味を持ち始めた10年ほど前の4月3日に、写真の鳥を見た。

カイツブリのヒナ

クチバシの先は黄色で、根元は赤く、体全体に茶色と黒の縦縞模様をして、動作がなんとなく幼っぽく見える。名前も知らず、只々、「かわいい」と思って眺めていたら、子供時代によく見ていたカイツブリが近寄って来て、背中に乗せて、遠ざかった。この鳥が、カイツブリのヒナと分かった。よく見ると、別の2羽のヒナも連れて、水に潜って獲ったエビなどを与えて子育てをしていた。そこで、ヒナがどのように育つのかに興味を持ち12月8日まで観察した。当然の事だが、カイツブリ親子にストレスを与えないよう、木陰から短時間の撮影にとどめた。その概要を2回に分けて紹介する。

育雛が進んで巣立ち(親から独立)して、繁殖が終了すると単純に想像していたが、2羽の親鳥は、ヒナに給餌をしながら、新たに卵を産み抱卵を始め、それを繰り返した。その概略を図①に示す。

実線は産卵・抱卵を続けていた期間で、それに続く点線は、全卵の孵化から全てのヒナが池から出て行った期間を示す。この図のとおり、4月から12月まで、4回の繁殖をした。最初の繁殖によるヒナを1番子と呼び、順次、2番子、3番子、4番子と名付ける。ヒナの数は、1番子から、順に、3、3、4、4羽で、合計14羽であった。

1番子の時の産卵・抱卵の期間と4番子のヒナの孵化から独立までの期間は明確ではないが、2、3番子の場合は、産卵・抱卵の期間が約5~6週間、全卵が孵化してからヒナが独立する期間は、約6~7週間であった。

1~3番子までは、一羽の親鳥がヒナに給餌しながら、別の親鳥が次の番子の卵を抱卵し、子育てが継続的に行われており、同じ個体のカップルによる繁殖であることは確かである。3番子が独立する前に、親鳥が姿を消した期間がある4番子の繁殖は、別のカップルによるのかも知れないが、同じカップルとして述べる。なお、1番子の前にも繁殖していた可能性もある。

抱卵と育雛を同時に行い、長期間、カップルで協力して子育てを行う。これは、「バンの子育て【本連載109110111】」の場合も同様である。雌だけで子育てするオシドリなどのカモとは随分違う。

この観察期間に、14羽のヒナが育ったので、このヒナが次の春に繁殖可能な成鳥になったとすると、カイツブリの生息数は1年で5倍以上になる。現実は、カイツブリの数は、ほぼ一定なので、僅かのヒナだけが繁殖可能になるのであろう。

次回は、誕生から独立までを、3番子を中心に述べる。(11月28日・記)

文・写真 松浦興一

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