続・井伏鱒二と因島【20】その作品に表現された「因島」

「新全集」では、次のように表現されている。

船はその波止場の先きをかすめて港にはひつて行き、赤腹を見せてゐる廃船を迂回して桟橋に着いた。この桟橋は、中田老人の村の桟橋と違つて規模が大きく出来てゐる。その桟橋を中心に、休業中の工場の建物が見え、その背後にも左右にも、ごちやごちやと家並みがつづいてゐた。土生(すべて仮名)といふ港町である。

『因ノ島』(新全集第11巻409頁)

「新全集」では「戦争中の空襲で」の表現がなく、一読して「廃船」が空襲によるものだと気がつかない。別言すれば「戦争」色を感じさせない。このことについて、論じてみたい。実は、小説「因ノ島」は数種類ある。いずれも井伏本人の度重なる加筆と訂正によるものである。

『井伏鱒二自選全集補巻』(399頁~400頁)には書誌が収録され、小説「因ノ島」が収録されたものを次のように整理した。

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井伏は加筆・訂正の多い作家であり、『自選全集』刊行の際に「山椒魚」の大幅な削除・加筆・訂正が行われたことは有名な話である。

(石田博彦)

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