因島で見た野鳥【115】チュウサギ

ペリカン目サギ科の一種で全長68・5㎝。全身の羽衣が白いサギを総称して、”しらさぎ”というが、日本鳥類目録(鳥学会 第7版)に掲載されている”しらさぎ”は、全長で小さい方から列記すると、アマサギ(全長50.5cm)、コサギ(61cm)、カラシラサギ(65cm)、チュウサギ(68.5cm)とダイサギ(80~104cm)である。

チュウサギは、主に、夏鳥として本州~九州で繁殖し、南西諸島では冬鳥、本州中部以南では越冬することもあるとされている。水辺にも来るが広い田園地帯や草地にいることが多く、コサギやダイサギとは違って干潟や海岸で餌を捕ることはほとんどない。数は多くなく、環境省のレッドデータブックで、準絶滅危惧種に指定されている。

今年11月2日に、冬羽の1羽(写真①)を因島で初めて見た。

写真①チュウサギ(冬羽)

クチバシは、冬羽では黄色で、夏羽では黒く、コサギのクチバシより短い。

写真②は、コサギとチュウサギが一緒に写っており、チュウサギがコサギよりやや大きいことが分かる。

写真②チュウサギ㊨と2羽のコサギ

単独でいると、コサギより大きいかどうかは分かりにくいが、足指がコサギは黄色で、チュウサギは黒いので、クチバシの色が同じ黒色の夏羽でも識別できる。

ダイサギはチュウサギよりかなり大きいが、チュウサギと同様に、クチバシは夏羽では黒く冬羽では黄色で、足は黒い。チュウサギやダイサギが単独で写っている写真では、大きさによる識別は難しい。

写真③は、ダイサギとチュウサギのクチバシの写真である。

写真③ダイサギ㊤とチュウサギ㊦の口角

これで分かるように、上嘴と下嘴の接合部(口角)が、ダイサギでは目の後ろにあり、チュウサギでは、目の中間あたりにある。この差異は、クチバシを閉じた状態でも明確で、識別に利用できる。

チュウサギは、ダイサギ、コサギと区別されないで、奈良時代から”しらとり”、”しらさぎ”、”さぎ”と呼ばれ、江戸時代中期ごろから、”だいさぎ”、”こさぎ”と区別されて、”ちうさぎ”と呼ばれるようになった(菅原・柿沢著・鳥名由来事典、柏書房、2005年)。

今回、チュウサギを見ることができて、全ての”しらさぎ”が因島で観測されたことになる。(11月4日・記)

文・写真 松浦興一

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