ふるさとの史跡をたずねて【242】升浜道路改修記念碑(尾道市因島中庄町浜床)
升浜道路改修記念碑(尾道市因島中庄町浜床)
本連載220回で紹介した浜床団地入口の「切切念郷」の久保田権四郎翁顕彰碑は大山トンネルを経てしまなみ海道へ行くのに通る幹線道路沿いであるから、多くの人がその前を通っていることだろう。そしてその大きな石碑に目を奪われるから、その下にある道路改修碑を気にかける人は少ないと思う。
この小さな石碑には、上部に二段にわたって右から「字(あざ)升浜道路改修記念碑」と書かれている。その下には小さな文字で寄付者名が金額とともに並ぶ。注意してみると、最初の二行は「大正十三年一月」、「一、金六百五十円本村補助」と読める。
丸池の手前あたりから浜床まで、土生新開の北端にある道路だろうか。主に江戸時代に行われた干拓地の道路が明治時代以降に改修されのは、さらに沖に干拓地ができることと、人口の増加が考えられるし、また交通機関の発達も考慮せねばならない。この時代は荷車が通れるような道路にすることが主な狙いだったと思われる。こういう状態がしばらく続き自動車が通るようになるのはもっと後の時代である。
また、道路の発達と人口増加は関連性は高いのであるが、この周辺の人口が増加するのはもっともっと後のことであるから、この道路改修の主たる狙いは今でいう農道のようなものだったのかもしれない。
土生新開は江戸時代よりも前の干拓地であるが、江戸時代にさらに東の鼠屋新開ができて、田んぼや畑が増え、最近ほどではないにしても明治時代になってから周辺人口も少しずつ増えていたであろう。
そして元の海岸線と土生新開の境目が道路らしくなったのではないかと想像する。
そして道路が整備されればさらに家も増えた。
写真・文 柏原林造
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