因島で見た野鳥【109】バンの子育て①

バンの子育て①

バンは、本連載【39】で紹介したが、数年前に、数ヶ月間継続してバンの子育てを観察したので、その様子を3回に分けて紹介する。

バンは、クイナ科の水鳥で、全長32.5cm、因島では留鳥で、多くの池で繁殖している。写真①に成鳥のバンを示す。

写真①成鳥のバン

遠目には黒い鳥に見えるが、頭と首は黒く、それ以外の羽衣は茶色で、脇に白い線が目立ち、背後から見ると白い下尾筒(尾羽の下側の羽)が目立つ。クチバシの先端は黄色で、額にかけて赤い。鳥では、足指の付け根の上の「膝関節」のように見えるのは、人でいえば「足首」に相当し、その上が「脛(すね)」で、「太腿(ふともも)」は、通常は羽に隠れている。バンの足は黄緑色で、「足首」の上に、赤い横線がある。足指(趾)は長くて、水草の上を歩くこともできる。

写真①では、数本の水草の茎をつかんで姿勢を保っている。

ある野池で、浮巣作りをしているバンを見た。巣を近くで見ると、巣を放棄することがあるので、営巣の観察は控えるべきとされている。たまたま営巣の場所が、付近の人が日常的に歩く道の近くにあり、人をあまり警戒していないように見えたので、6月から10月にかけて、1回の観察時間を短くして、物陰から継続的に観察した。

巣作りを続けていたバンのペアが、6月7日に抱卵を始めた。抱卵中でも巣の手入れを欠かさない。

写真②は、ペアの1羽が巣材を抱卵中のパートナーに渡しているところである。

写真②抱卵中も巣の手入れをする

抱卵している1羽が「キュルー」と甲高い一声を発すると、別の一羽が巣に来て抱卵を交代する。

抱卵して3週間後の6月28日に2羽のヒナが誕生していた(写真③)。

写真③2羽の雛が孵化した(6月28日)

ヒナは黒い綿毛に包まれ、赤いクチバシが目立つ。

その後、次々に孵化して7月4日にヒナは7羽(写真④)になり、それ以上ヒナは増えなかった。

写真④7羽の雛が孵化した(7月4日)

最初の孵化から約1週間かけて全卵孵化したことになる。この時、初めに孵化したヒナは泳げるようになっているが、他のヒナは巣から出ない。

前にも述べたが、鳥類は、ヒナの孵化時の発達段階で、いくつかに分類され、孵化してすぐ親について巣を離れ自力で採餌する早成性のカモなどは、一斉に孵化する。バンは亜早成性で、孵化直後から自力で動くが、数日は巣を離れることはない。親鳥は、巣を出られないヒナには餌を運び、泳げるヒナは巣から連れ出して給餌する。したがって、一斉に孵化せずにヒナの成長の程度が異なっても、これらのヒナを同時に育てることができる。

7月5日には、2羽のヒナを巣から連れ出し、植物性の餌を与えたり(写真⑤)、動物性の餌を与えて(写真⑥)いた。

写真⑤巣を離れたヒナに植物性の餌を与える(7月5日)

写真⑥動物性の餌を与える(7月5日)

(つづく)

文・写真 松浦興一

因島で見た野鳥【39】バン

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