「社会を明るくする運動」入選作文【15】たばこ一本の優しさを

尾道地区保護司会(小川曉徳会長)が行った第70回「社会を明るくする運動」作文・標語コンテストで表彰された作文を掲載する。

たばこ一本の優しさを(中学校の部 尾道市入選作品)

栗原中学校3年 堀家萌花さん

私は以前、こんな内容のテレビ番組を見たことがあります。それは、脱獄した囚人が疲れ果てて、町に座りこんでいたところ、心優しい警察官に一本のたばこをもらい自首したという内容のものでした。この囚人はずっと優しさを求めていた、とテレビでは報じられていました。私は、このテレビ番組を見たときに、たかがたばこ一本なのに、しかも、囚人からしたらやっと脱獄できたというのに、どうして自首したのか、と不思議に思っていました。

でも、今はその気持ちを理解できる気がします。

私は、二年生のときからあまり自分に自信がありませんでした。

何をやっても人並み以下で、努力をしたつもりでも、満足する成果を出すことはできませんでした。今思うと、ただの自分の努力不足だったのかもしれませんが、私にとっては大きなコンプレックスでした。だから、私は少しでも誰かに認めてもらえるように、ほめてもらえるようにと心がけていることがありました。学校のルールや規則はきちんと守り、部活動には毎日参加しました。定期テストでは、良い点がとれるように勉強を頑張りました。苦手なことでも失敗をおそれず、勇気を出して挑戦しました。それでも周りは、「前までのあなたが努力していなかっただけで、今のあなたはあたり前の姿だよ」という言葉しかくれませんでした。

しかし、ある時学校で部活動中に、先生が私の名を挙げてほめてくださったことがありました。それは、毎朝の練習で、「よく声を出している」というものでした。それだけのことでした。それもみんながいるような公の場というわけでもなく、部活動中に集合をかけられ言われただけのものでした。しかし、その一言を聞いて、私は「自分のことを見てくれている人がいる」と感じ、やる気を出させてくれました。

私は、その頃の私と、あの囚人との間で、共通していえることは、誰かからの優しさを求めていたことだと思います。私を救ってくれた先生の一言も、「たばこ一本」ほどの決して大きなものではありませんでした。しかし、その小さな気遣い、少しの優しさが私と囚人を救ってくれたのです。

このような私の経験から、社会を明るくし、犯罪や非行が起こらないようにするには、周囲の人の小さな変化や努力に気付く必要があると思いました。私は、犯罪を起こしてしまうような人は、自分に自信がなかったり、一人でさびしい思いをしているのだと思います。しかし、そういった「誰かに気付いてほしい」という思いを素直に伝えられず、不安が積み重なった結果、犯罪を起こしてしまうのだと思います。実際、人が心の中で何を考えているのかは分かりません。どんな悩みをかかえているのか分かりません。だからこそ、私たちがもっと周囲に気を配り、声をかけていくべきだと思います。

また、犯罪を起こしてしまう人自身も、悩みや不安があったら、身近な人に相談してみるべきだと思います。きっと、自分の努力を認めてくれる人がいます。

私は、罪を犯してしまう人は、自分の存在に気付いてほしい、という思いから、いけないことをしてしまうのだと思います。そんな悲しい事件をなくすためにも、身近なことに気を配り、「たばこ一本」の優しさをもって人と接することが、社会を明るくする第一歩だと思います。

第70回「社会を明るくする運動」作文・標語コンテスト 中学生の部表彰者の皆さん

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