因島で見た野鳥【107】セイタカシギ 越冬して渡去

セイタカシギ 越冬して渡去

セイタカシギは、本連載【89】で、2020年11月4日に因島で初めて見たとして紹介した。セイタカシギは、チドリ目セイタカシギ科の一種で、全長37cm、クチバシは細長く、脚は淡紅色で非常に長い。背が黒あるいは茶色で、他は白が目立ち、虹彩は赤い。「11月18日現在もいるので、しばらく滞留するのかもしれない」と述べた。その後も留まって越冬し、翌年2021年5月4日まで同じ場所で観測され、その後いなくなったので報告する。

写真①は、渡来直後(2020年11月5日)のセイタカシギである。脇に見える茶色の羽は、肩羽と雨覆という羽で、雨覆の羽一枚づつの縁取り(羽縁うえん)が白い。

写真① 2020年11月5日のセイタカシギ

写真②で、その様子がよく分かる。このことから、この鳥は、2020年の春に生まれた幼鳥(第一回冬羽)と判断できる。

写真② 羽を広げた2020年11月5日のセイタカシギ

写真③は、2021年4月19日の写真で、白い羽縁が無く、夏羽(繁殖羽)に換羽し、繁殖能力のある鳥に成長したと思われる。繁殖の相手を求めて去って行ったのであろう。

写真③ 2021年4月19日のセイタカシギ

日本野鳥の会・広島県支部が、約500人の協力の下、約50年間の観察記録をまとめて発刊した「ひろしま野鳥図鑑」(中国新聞1998年)では、広島県でのセイタカシギの観測例の総数は13件、越冬したのは、1995年に深安郡神辺町(現福山市神辺町)で観測された1例だけである。

環境省レッドリスト2020年には、「ごく近い将来絶滅する危険性が極めて高いもの」絶滅危惧種1A類(鳥類では24種)、「1A類ほどではないが近い将来絶滅する危険性が高いもの」絶滅危惧種1B類(鳥類では31種)の分類があるが、セイタカシギは1B類に指定されている。セイタカシギは、近年観測例が増えたとはいえ、貴重で珍しい鳥であることに変わりはない。

セイタカシギは、ユーラシア大陸内部で繁殖し、南半球に渡るとされているが(中村登流「野鳥の図鑑」保育社1986年)、近年は、鹿児島県沖永良部島、三重県、愛知県、東京都、千葉県などで繁殖が観測され、一部地域では留鳥とされている。因島に来たセイタカシギは、どこから来て、繁殖相手にどこで出会えたのであろうか?

写真・文 松浦興一(5月28日・記)

因島で見た野鳥【89】セイタカシギ

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