因島で見た野鳥【105】カンムリカイツブリ 冬羽・夏羽

カンムリカイツブリは、本連載【14】で紹介したが、そこでは、冬鳥として2、3羽を見ることがあると紹介した。2021年の冬は、沖合に、少なくとも十数羽の群れが来て、ユリカモメやカワウの群れと一緒になって鳥山を形成していた。その中に、夏羽(繁殖羽)となった個体がいたので、紹介する。

㊧夏羽 ㊨冬羽

写真の㊧が夏羽(繁殖羽)で㊨が冬羽(非繁殖羽)のカンムリカイツブリである。夏羽では、黒い冠羽が目立ち、顔の後方に赤褐色と黒の飾り羽がある。雌雄同色。

繁殖地は、北半球・南半球の広い範囲に分布している。日本には、少数が冬鳥として渡来していたが、近年は渡来数も増え、越夏し繁殖する個体も増えてきた。日本で初めて繁殖が記録されたのは1972年に青森県で、1990年大阪府淀川、1991年琵琶湖、1996年桑名市長良川、2004年に秋田県で繁殖が記録されている。(西出ほかStrix vol.23 pp.167-171,2005)。この冬に因島への渡来数が増えたことを、上記の全国的な傾向に結びつけるのは早計であろうが、来シーズンが楽しみでもある。。

カンムリカイツブリは、ヒナをオス親担当とメス親担当のグループに分ける、いわゆる「ヒナ分け」して育雛することがある。一旦分けられたグループは、親離れするまで変らず、親鳥は、担当でないヒナには給餌せず、攻撃することもある(中濱:BRNews vol.10 No.7 2013)。「ヒナ分け」は、ヨーロッパコマドリ(Harper,D.G.C:Anim.Behav.vol.33 p.466 1985)、ツメナガホオジロ(Robert L. 他:The Auk vol.102 p.687 1985)などでも観測されている。「ヒナ分け」は、自然淘汰で「進化」した結果であるから、「ヒナ分け」でより多くのヒナを育てられることもあるのであろう。

本連載【94】「カルガモの子育て」で、カモ類では、母鳥が自分のヒナと他の母鳥のヒナを区別なく育てる「ヒナ混ぜ」が起こることを紹介し、筆者は、自分のヒナと他者のヒナを識別していないと考えて、「大雑把」と評した。しかし、「ヒナ分け」では、親鳥がヒナの個体識別をしていると思える。カモも個体識別ができて、その上で、他者のヒナを受け入れているのかもしれない。だとすると、母鳥は、「大雑把」ではなく「寛容」であると書き換えねばならない。もっとも、親鳥が魚を捕獲してヒナに給餌するカンムリカイツブリと違って、カモは、ヒナを餌場に引率するが給餌はしないので、育雛の手間はカンムリカイツブリに比べ少ない。(5月6日・記)

写真・文 松浦興一

因島で見た野鳥【14】カンムリカイツブリ

因島で見た野鳥【94】カルガモの子育て

 

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