因島で見た野鳥【101】キレンジャク

本連載【100】で、因島に来たヒレンジャクの群れを紹介した。その群れの一つを撮影した吉田夫妻の写真にキレンジャクが混じっていることが確認できたので、キレンジャクを「因島で見た野鳥」に「初見の種」として取り上げる。キレンジャクは、ヒレンジャクと共にレンジャク科に属し、冬鳥として混群で全国的に渡来し、東日本にはキレンジャクが多く、西日本にはヒレンジャクが多いとされている。キレンジャク(全長19.5cm)はヒレンジャク(17.5cm)より大きいが、大きさでの識別は難しい。ヒレンジャクの尾羽の先は赤く、キレンジャクは黄色である。

写真で、上列左の鳥は、尾羽の先は黄色で黒い過眼線は冠羽には届かず、キレンジャクと思われる。上列右の鳥の尾羽は赤色でヒレンジャク、下列左右の2羽は、尾羽は写っていないが、過眼線が冠羽まで届いているので、ヒレンジャクと思われる。

1997年に、長野県で、ヒレンジャクとキレンジャク187羽が突然死した。丸山(衛生化学vol.44 pp.17-24,1998)は、摂取したピラカンサの実に由来する猛毒のシアンなどが原因のグループ、農薬EPNの摂取が原因のグループ、原因不明のグループがあるとしている。一方、鳥類学者の中村浩志(科学Vol.67 No.7 pp.484-487,1997)は、ピラカンサの実を喉に詰めて窒息死したとしている。これに対して、鳥類学者の上田恵介(科学Vol.68 No.8 p.671,1998)は、鳥は、食道を大きな固形物が通過しても気管が塞がることはなく、窒息しないとし、シアンなどの有毒物質の可能性があると述べている。宮川(全国環境研会誌Vol.32 No.4 pp.25-29,2007)は、レンジャク類の大量死からほぼ10年後に、この原因究明の経過を報告しているが、原因究明に大きな進展はない。

NATIONALGRAPHIC(2011.01.07)に、「2010年、アメリカで大量の鳥が雨のように空から落下し、辺り一面を黒く染め上げ、他の地域からも、同じような謎の大量死が続々と報告された。鳥類の専門家たちは、”鳥の空中死は日常茶飯で、黙示録的な伝染病や極秘の実験が原因ではない”と述べている」とある。わが国でも、各地で、色々の種の大量死の例があるが、原因が不明の場合も多い。(例えば、渡邉他:環境科学会誌Vol16(4)pp.317-328,2003)

電線の大群から鳥が突然落下死するのは、ショッキングな光景である。しかし、これらを、根拠なく、人が感じない電磁波によるとか疫病や大地震などの前兆現象などとして、社会不安を煽るべきではない。一方、鳥インフルエンザのような野生動物由来の感染症、野鳥を環境破壊などの生物指標と考えると、大量死の原因究明は重要と考える。

最後に、吉田敬一郎・慶子夫妻の写真・情報提供に、感謝の意を表します。

文=松浦興一 写真=吉田敬一郎・慶子(瀬戸田町)

因島で見た野鳥【100】ヒレンジャク 今年もやって来た

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