因島で見た野鳥【94】カルガモの子育て

カルガモは、既に本シリーズの【22】で紹介したが、ヒナを連れたカルガモを見る機会が多いので、再度取り上げる。写真㊤は、その一例で、2020年6月3日に撮影したものである。この年、5羽のヒナを連れた別の家族や、3羽のヒナの家族、1羽のヒナの家族も見た。

カルガモは一度に十数個の卵を産むが、因島で見たカルガモのヒナの数は、5~6羽の場合が多い。我々が目にするまでに、ヒナの半数近くが捕食者の犠牲になったか、孵化する卵の数が少ないかであろう。6羽のヒナが全滅したと思われるファミリーも見た。自然は厳しい。

【22】でも述べたが、スズメやツバメのヒナは晩成性で、孵化した直後は丸裸で自力では移動できず採餌もできない。カルガモは、他のカモ類と同様に、早成性で、孵化した時にはヒナは綿毛に包まれ、すぐに自力で動き、採餌もできる。孵化して数時間後には、母鳥は全てのヒナを巣から餌場に連れて行き、ヒナは自力で採食する。

鳥が生む卵数は1日に1つ以下で、総数10個の卵を産むとすれば、最短でも10日かかる。同じように抱卵すれば、孵化する日に10日の差が出る。カルガモの抱卵・育雛は母鳥だけで行うが、ほぼ同時に孵化するように調整する。孵化するとき、ヒナは鳴き(啐)ながら殻を突っつき、母鳥も殻を突いて(啄)応えるとのことである。ヒナ同士も鳴き声で孵化する時期を調整するらしい。絶妙で精緻な仕組みである。因みに、禅において、「機を得て両者が相応すること」を啐啄(そったく)という(広辞苑)。

数年前に、ほぼ同じ大きさの5羽のヒナを連れた二組のファミリーが遭遇した場面を見た。いきなり母鳥同士が、写真㊦のように争い、それを、10羽のヒナが遠巻きしていたが、しばらくすると勝負がついたのか、ヒナが素早く5羽づつ親鳥の元に集まり、それぞれが一団となって離れていった。筆者は、ヒナが自分の親を即座に見定めて、元のファミリーに戻っていったと思い、そのことに感動した。

ところが、その後に知ったことだが、ガンカモ類に「ヒナ混ぜ」の習性がある。ヒナが別の親鳥の群れに混じり、親鳥も自分の子供と区別せずに受け入れることがある。筆者の「感動」した場面は、単に、たまたま5羽づつに別れただけで、親を正しく選んだのではないのかもしれない。自然は、厳しく、多様で、精緻な仕組みと大雑把(柔軟)な仕組みが混在している。

ついでに述べると、混ざりあったヒナが親鳥を選ぶときは、優秀そうな親を選ぶ傾向があるそうである。自然は「たくましく」もある。

写真・文 松浦興一

因島で見た野鳥【22】カルガモ

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