ふるさとの史跡をたずねて【194】廻国供養塔2(因島重井町善興寺)

廻国供養塔2(因島重井町善興寺)

重井町善興寺にはもう1基廻国供養塔がある。正確にはあった、と記すべきであろう。平成30年の7月豪雨で島四国75番善通寺とともに土砂に流され、以来再建されていない。少し小ぶりで、六地蔵の裏、善通寺の隣にあった。正面には「奉納大乗妙典日本六十六部廻國 天下泰平 日月清明 大和國産 大願主新叡」台座には「十方施主 世話人 施主」などが書かれている。

以前書いた島四国84番屋島寺のある川口大師堂の裏にある了心という尼僧が建てたものと合わせて重井町内には3基あることになる。

ところで「白滝山之図」という絵があり、そこに添えられた文字の中に「天下泰平 日月清明 国家安全」というのを見ることができる。廻国供養塔の決まり文句がここにあるのが不思議だ。伝六が廻国供養の行者になったか否かはわからないが、関心をもっていたことは確かだろう。伝六は西国三十三観音の巡礼はしている。もし他の地域へも足を運んだとしたら、結願はしなかったものの廻国供養で訪ねたのかもしれない。

さて、そろそろこの連載の重心を明治以降に移したいと思い、江戸時代的なものを整理してみたら、伊能忠敬の来島があった。併せて書いておきたい。村上貢氏の『しまなみ人物伝』には測量日記が紹介されている。

文化2年(1805)2月8日に因島の周辺島々を測量し、「止宿、曹洞宗善興寺。此の夜晴天。測量。」と記してある。善興寺は天保13年(1842)に火災にあっているから、伊能忠敬らが泊まった建物は残っていない。翌日は因島周辺を測量して三庄へ泊まる。「三津庄浦へ着。止宿、庄屋宗平。家作新らし。測量。」とあるのは、当時火災にあって新築間もない家だったと聞いたことがある。

(写真・文 柏原林造)

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