75歳老人のフーテン 東北の旅【14】
9月8日(日)⑨
途中「さくらモールとみおか」の前で運転手が列車の時間には早いからコーヒーでも飲みましょう。私がだしますと、モールの中のカフェに誘われ、しばらく談笑をして時間を過ごし、富岡駅より列車に乗る。
その時運転手が話したのは事故後最初のうちは作業員の危険手当が1日3万円円ほど付いたという。そして暴力団のピンハネが話題になったが、今は監督が厳しくてそのようなことはなくなったといわれているという。現在は線量が下がり1日の危険手当は5千円程度だという。
この原発事故で誰が一番儲けたかと質問すると土建屋だと答え、今まで通ってみて気づかれたはずだがこの土木工事の多さには驚かれるでしょうという。次はというと人材派遣という。確かにガードマンが至る所に立っていた。あなたの会社はというと恩恵に預かっていると笑いながら答えた。そして第2原発が廃炉になることに不満があり残念がっている。
運転手は原発事故特需を活用する会社の視点での話がほとんどでいまの現状に対処していた。
不注意にもあとになりきづいたのだが、海岸線にはよく行っているのに港の現状を確認しなかったことで、漁業について話を聞くのを忘れていた。海岸線の巨大防波堤に隠れてしまいその向こう海にまで注意を払えなかった。漁業はおそらく壊滅的打撃うけたはずである。
富岡町の場合帰還困難地域が解除されてすぐに帰還したのは、2017年のデータでは1割の帰還率である。今はだいぶ増加して3割程度であるという。すでに事故から8年半若い人たちは避難先での生活が確立している人たちも多く、帰還率がどの程度まで回復するか不明である。
福島の災害は放射能汚染という問題もあり8年半も経過してもやっと端緒についた印象である。
今日は福島市に泊まることにして、いわき駅~郡山駅で乗り換えて福島駅に降りるが台風の影響で雨が降り夕闇もせまっていた。福島は郡山には劣るがいわきよりはるかに活気がありながらも落ち着いた町である。雨の中のホテル探しに少し苦労したが宿も決まる。近くの居酒屋でビールを飲み軽めの食事しホテルに帰り疲れを癒しながら眠りにつく。
田中伸幸(因島田熊町)
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