尾道教育パイオニアモデル因南学園 因島住民戸惑う幼小中一貫校創設 小学校統廃合めぐり賛否両論

 尾道市議会の2月定例会を前にして、市教委が設置を決めた因南学園(仮称)に関する尾道市議会への請願が相次いだ。


 2日、三庄町住民の「尾道市立三庄小学校の存続を求める請願書」(青木悦子代表ら2999人、9日最終3039人紹介議員・楠見公史議員=因島三庄町)、田熊町民の「尾道市立田熊小学校の存続を求める請願書」(藤原繁広代表ら3557人、紹介議員・楠見公史議員)が提出された。
 6日、土生小PTA会長村上善彦代表ら16人の会長による「仮称因南学園設立推進のための請願」(紹介議員・吉田尚徳=因島外浦町、田頭弘美=因島中庄町、村上泰通=因島重井町)。
 7日、日本共産党因島田熊支部・中川利枝子支部長の「因南学園構想にもとづく三小学校の統合は一時凍結することを求める請願」(紹介議員・岡野長寿議員=因島田熊町)が提出された。
 以下、紙面の都合により要旨を掲載。

尾道市立三庄小学校の存続を求める請願書

三庄小学校
 現在、尾道市教育委員会は、因島南部地域(土生町、三庄町、田熊町)の全小・中学校と土生幼稚園を閉校・閉園して、(仮称)因南学園の設置を決め、尾道市と市議会への働きかけを強く行っています。
 三庄中学校ばかりか三庄小学校を同時になくすということは、一大事であります。しかも三庄・椋浦町で説明会らしい説明会は1回もされていません。ほとんどの住民が質問や疑問を提出する機会すら与えられていないのです。「因南学園の設置が決まったぞ、住民よ文句言わずに従え」と言われているのと同然の状態におかれております。これが地方自治でしょうか、これが尾道市の民主主義というものでしょうか。編入合併された地域の住民には主権在民の場は提供されないのでしょうか。
 そうした中で私たちは、やむにやまれぬ気持ちでもって過半数をこえる住民の総意の下、民意を形成し、尾道市議会に請願書を提出した次第であります。
 旧因島市時代に、因島市教委より4回にわたる町民説明会を開いていただき、因南中学校の設立=三庄中学校の閉校・統合と小学校の存続という方向を納得いたしました。だからこそ小学校を大切にしよう、育てていこうという、住民の気運を高めてまいりました。
 児童にとって地元で育まれることが一番であり、安全でもあります。その機会の保障は、小学校創立時からそうであったように、その町にすむ住民の最低限の義務であると思います。親、家庭、地域みんなで-生懸命見守ってあげる必要があるのが小学生ではないでしょうか。幼児から児童、幼・保から小学生の大切な時期は、地元の学校で責任をとりきることが絶対です。
 以上の願いは、多くの親、それを育てた祖父母、そしてなにより子どもたちのものなのです。なにとぞ、町民の願いをかなえていただき、議会で十分審議していただき、尾道市立三庄小学校の存続ができますようにお願いいたします。
平成19年2月2日 尾道市因島椋浦町272 青木悦子ほか2998名

尾道市立田熊小学校の存続を求める請願書

田熊小学校
 尾道市と因島市との合併協議では、旧因島高校跡地に、田熊、土生、三庄の三中学校を統合して因南中学校として発足することが決まっており因南地区の小学校三校は現状のままで、統合はしないことが決まっていました。
 しかし合併後、尾道市教育委員会は中学3校統合だけでなく、因南地区の三小学校と土生幼稚園をも統合して『因南学園』を新設する方針を決めて、二月議会に、建設の為の実行予算案が提出されようとしています。
 尾道市、尾道市議会、尾道市教育委員会は、地域住民(田熊町民)の多くがこの計画に賛成している、と誤解されています。
 田熊町民にとっては、町から小学校が無くなることは田熊町の衰退に繋がります。小学校のない町には若い人は住みません。
 小学校の段階では、町と家庭と学校が連携して子供を育んでいくのが理想です。複式学級になるほど子供の数が減っているのでしたら無理は申しません。
 しかし、平成17年4月現在、田熊町の零歳児は25人、一歳児は28人、二歳児は25人と幼児の数は、いくぶん回復基調になっています。田熊町の人口は以前のように減ることはないと考えられます。
 旧文部省通達(文初財431号)『学校規模を重視する余り無理な学校統合を行い、地域住民との間に紛争を生じたり、通学上著しい困難を招いたりすることは避けねばならない。また、小規模校には教職員と児童・生徒との人間的ふれあいや、個別指導の面で小規模校としての利点も考えられるので、総合的に判断した場合、なお小規模校存置し充実するほうが好ましい場合もあることに留意すること。』とあります。
 また、地方自治体の「財政健全化」が話題になっている時に、因南中学に22億円を投資し、その上に田熊町民の多くが反対している小学校の統合に、それに類する金額(20億円を超えると言われている)の追加投資をされようとしています。
 小学校の統合は、中学の統合が終わった後、世の中の変遷を見届けた後に、再審議して戴ければ幸甚でございます。
平成19年2月2日 尾道市因島田熊町1191―1 藤原繁広ほか3556名

因南学園(仮称)設立推進のための請願
因南学園完成予想図
要旨 子ども達にとって理想の教育環境が整うように、現在尾道市が計画をしている「因南学園(仮称)」の建設、設立がPTAとの充分な意見交換をしながら粛々と推進されるように請願いたします。
理由 因島地域の産業構造の変化や近年の少子化傾向により、因島地区の小・中学校の児童・生徒数の減少が進み、学校の小規模化が深刻化してきたことから尾道市は因南学園設立の計画を纏められました。
 私たちPTAは、因南学園計画の説明を受け、小規模校の長所短所や適正規模校の長所短所を検討しました。同学園設立後は学校の無くなる地域ができてしまい、当該町民、卒業生等にとっては大変辛いことではありますが、あくまでも子どもの立場で考えた時、同計画を受け入れ、賛成をするに至りました。
 しかし、学校が無くなるという現実から直接の当事者である我々PTAとの意見交換をすることもなく同学園設立計画に反対する活動がありとても残念に感じています。そこで、改めてPTAの立場で同学園の設立が推進されるように請願をいたします。
 既に議論は尽くされていますが、平成12年の因島市立学校統合諮問委員会においても小規模校の長所を認めつつ、次のような短所も指摘しています。 (中略)
同諮問委員会では、適正規模の考え方を次のように整理しています。
学習集団の充実
 児童・生徒は、生活の大半を学校で過ごしており、そのため学校における人間関係は大きな意味を持っている。新年度のクラス替えは、固定しがちな人間関係に変化を与え、気持ちの切り替えのチャンスにもなる。もし、一学級のまま入学時から卒業まで同一集団の中で過ごさなければならないことになれば、子どもにとって少なからぬ影響があると考える。
 小規模集団では、実施したくてもできないものも多くある。体育や音楽における団体競技や合唱の活気や迫力は大集団になるほど高まってくる。また、行事におけるプログラムが豊富なほど、部活動の種類が多いほど一人ひとりの個性・特性を伸ばすチャンスも増えてくる。一定規模の集団であれば、工夫によって小規模集団の持つメリットに近づくことができるが、逆の場合は限界があると考える。
教育指導・学校運営の充実
 21世紀の新しい指導法として、一人ひとりの特性に応じて学習の課題や方法を設定し、複数の教職員によるティームティーチングにより効果をあげる等、斬新な取り組みが導入されてきており、多様な取り組みが始まっている。
 また、子どもの自己決定力を養い、興味関心に応じた学習を保障するうえで、選択教科や部活動が重要な位置を占めている。しかしながら、小規模で教職員が少なければ、十分な選択肢が準備できないという明らかな課題がある。
 学年や同一教科に複数の教職員がいることは、教育実践や教育研究を進める上で、発想がより豊かになり、相互協力が得られるなど大きな力を発揮することにつながる。
 従って、一定以上の教職員の確保は教育指導・学校運営の充実には不可欠であるといえる。
 以上の学校統合諮問委員会の考えは当時のPTAの意見が多く取り入れられており、また、現在のPTAも承知し納得をしているところです。
 主な請願理由は以上ですが、因南地区の教育環境向上のため立派な「因南学園」が設立されるようご尽力をお願いいたします。
平成19年2月6日 尾道市PTA連合会会長宇根本茂ほか15人

因南学園3小学校統合 一時凍結を求める請願
 尾道市教育委員会が、昨年1月10日の合併後唐突に持ち出した田熊、土生、三庄の3小学校の統合をめぐり、該当地域では賛否をめぐって世論が二分されていることが今日明らかになっています。
 このような状況のまま統合がすすめられることになれば、地域住民の間に根深い確執を残すことになりかねません。
 保護者の圧倒的多数が反対しているにもかかわらず、教育委員会が栗原小学校への統合を強行した久山田地区では、町内会と育友会の間に新たな確執が生まれ、育友会員の中には、町内の行事への参加を無言で拒否する、閉校式への不参加を表明するなど、これまでは考えられなかった地域コミュニティーの分断が鮮明になっています。子どもの教育にとっての是非に加え、PTAを含む地域全体での合意を得るための努力はいくら尽くしても尽くしすぎたということはありません。現に尾道市でも、昨年浦崎小学校に統合した戸崎小学校の場合、生徒数が各学年一桁という期間が年以上も続き、地域外の市民から見れば統合やむなしという状況であったにもかかわらず、市教育委員会は、地元の合意形成のために10年かけました。
 現在該当地域の世論を二分している因南3小学校の統合については、行政も議会も、これまで教育委員会が実施した十数回にわたる説明会を通して地元の合意は形成されているとの報告にもとづき、統合やむなしと判断していたものの、その後存続を求める世論と運動が今日のように急速に広がった事実は、合意形成のための努力が不十分であることを証明しています。
 さらに私どもが危惧いたしますのは、世論が二分されたまま統合をすすめるならば、子どもの世界にまで「統合賛成派の子ども」と「統合反対派の子ども」という分断が起きてしまうことになりかねないことです。そうなれば、いったい何のための、だれのための統合なのかということになってしまいます。
 今尾道市と教育委員会がなすべきことは、統合の是非について、メリット、デメリットなどの十分な情報を提供したうえで該当地域住民の自由な論議を十分に保障して合意と納得を得る努力を重ね、最終的には「住民自治」の原則に立ち返って、自治会による住民投票など、統合に賛成の人も反対の人も納得できるやり方による地元での結論にゆだねることであります。
 関係地域住民の合意と納得を得るために、田熊、土生、三庄の三小学校の統合計画は一時凍結すること。
平成19年2月7日 日本共産党因島田熊支部支部長 中川利枝子 尾道市因島田熊町本町区1067―4

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