75歳老人のフーテン 東北の旅【10】

9月8日(日)⑤

そこからしばらく行くと区画整理された地区で100軒近くの新築の家が軒並みに立ち並ぶ地区に入る。これは公設避難者住宅でそこは全員入居が完了している。

そして右手に「さくらモールとみおか」という大型のショッピングモールが現れる。このあたりの景観は原発事故や津波の被災地には全く見えない。まるで都会の郊外の宅地開発されたニュータウンである。

そこを右に折れると私の乗るタクシーの営業所がある。この会社の本社はいわき市あり、本業はバス会社とのことである。原発事故により大量の人員を第一原発に移送という大きな仕事が発生し、どうしても前線基地の富岡に営業所が必要となったのである。そこで地震・津波に耐えた家のある300坪ほどの物件2200万円程度で買ったという。そこにはバスが3~4台ほどタクシーも何台かあった。家は事務所と宿舎になっているという。

この会社は原発事故で大いに恩恵を受けているようですね尋ねると、彼は何も抵抗もなくそうですと答える。事故から8年半、事故はあったものとして彼は日常に戻っているようだ。ここを初めて訪れ身構える私の感性などは彼にはすでに通り過ぎ去っているようだ。

彼がさかんに力説するのは「さくらモールとみおか」のことである。彼はどうも営業所の所長もしくはそれに次ぐ責任者のような立場いるようで、しばしば富岡に泊まらなくてはいけない立場になるようである。ここで宿泊されることもしばしばあるようで、モールができて本当に助けられていると繰り返し話してくれた。

写真は東日本大震災から6年後の2017年年3月30日に全館オープンした「さくらモールとみおか」。

(田中伸幸・因島田熊町)

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