ふるさとの史跡をたずねて【172】白衣観音像(因島重井町白滝山)

白衣観音像(因島重井町白滝山)

伝六の著作の中に功過自知録というのがあった。他の人の名前もあったが、他の著作と一緒に綴られていたので、他の人の著作を参考に伝六が考えたものだと思っていた。類似のものが翻訳されて出版されていたということがわかったので、古書を求めて比較してみると、その人の著作を写したものだったということがわかった。

その内容は一言で言うと、道徳の点数化である。多数の善い行為、悪い行為が点数化されており、毎日記録して集計する。月ごとに集計し、また1年でも集計する。その古書には集計表まで付いていた。

今でも生徒に家庭での学習時間を記録させている中学校があると思う。テレビ、読書、勉強などと分けて日々の時間数を記録し、週ごとに集計する。はじめのうちは、学習時間が増えるので、効果があるかも知れない。

伝六は観音菩薩の生まれ変わりと称し、観音道一観と名乗ったのだが、難しいことを言ったわけではない。二百年も前の、各家庭には時計もなかった時代の農村である。善い行為を多くするように心がければ、規則正しい生活になり生産性も上がる。熱心に実践すればするほど生活は豊かになり、家は富む。

伝六はどこかで、その功過自知録を知り、わかりやすく説明して広めた。このことだけでも、時代と地域を考えれば凄いことである。社会教育家としての伝六を、まず評価してよいだろう。

おそらく伝六とその弟子たちは、宗教的情熱をもって説明したのであろう。生活が豊かになった人たちから送られたのが白衣観音像である。これは伝六の姿を表現していると言われている。

宗教家としての伝六を考えたとき、白衣観音像は何を意味するのであろうか。伝六自身が観音菩薩だと言っているのだから伝六崇拝と観音崇拝が重なる。すなわち現世御利益祈願の観音信仰(伝六信仰)が成立したと言える。

と同時に、伝六の道徳家的一面がここに起因することにも注意したい。この面は戦前の修身教育によく合い、伝六と白滝山は大いに持てはやされたことが容易に想像できる。

(写真・文 柏原林造)

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