公立幼小中一貫校継続的検証必要 因南学園(仮称)幼小併合意見二分 見直し求める住民署名運動の波紋

因島で「おのみちモデル教育を」と、幼小中一貫教育に取り組んできた尾道市教委は1月29日夜7時30分から芸予文化情報センターで因島南部3町を対象に進めてきた「因南学園=仮称」の基本設計の概要について住民説明会を開いた。

住民説明会

小・中の校舎 鉄筋4階建て

施設の概要は、小中校舎は各4階建て、3・4階が吹き抜けの体育館と管理棟を合わせた計3棟が中央で合体する。幼稚園は別棟の2階建て。運動場は200メートルのトラックが取れるが、野球、サッカー、バレー、テニスコートなどの予定地は示されていない。

計画に賛否両論 PTA分裂危機

平谷祐宏尾道市教育長

市教委の概要説明が終って、住民との質疑に入ったが幼・小・中一貫教育のメリットを「ベスト」と強調する平谷祐宏教育長=写真=に対し、降ってわいたような小学校の閉校統合にとまどう田熊町や三庄町地区住民からは「中学校の統合は5年かけて了解に達した。小学校については十分説明を受けていない」「学校問題はPTAや区長会だけのものでなく、OB、一般地区住民の生活環境にもかかわる」―など地域の歴史文化論の発言まで出るしまつ。

当初、予定していた時間を大幅に超え、深夜まで続きそうな熱のこもった雰囲気だったが、市教委は質疑を打ち切り平谷教育長が「市議会の信を得ながら因南学園問題を進めてきた。もちろん、反対署名運動が行われていることも承知している。今日の説明会の様子を持ち帰り、市長部局や議会に報告、判断を得たい」と結んだ。

手本なく保護者 説明不足に不満

説明会場は約250人が出席。因南学園の基本設計の説明を聞いたが、早期建設のプロセスの一環にすぎないセレモニーの様相。資料も一貫教育の利点と成果を強調する市教委に対し、地域住民側はこれまでカヤの外に置かれた説明不足に不満がくすぶる。子どもの教育環境にも価値観の差があるPTAの若い保護者グループ。

「慶応時代から百余年の伝統を考えると断腸の思い」と訴えるOB教師の悲痛な叫び。「皆さんの意見は十分聴かせてもらい反対される気持ちも分かっている」とPTA因島ブロック役員は沈痛な面持ち。

いずれにしても手本はなく、試行錯誤しながら幼小中年一貫校をこれから模索していくわけである。中学教諭が小学校で授業するという利点がある―と、平谷教育長は説明していたが、中学教諭の授業が小学生に理解されなかったという例も少なくはない。

子どもに良い教育を受けさせたいとの思いは保護者、学校、地域に共通する。成果を出すには三者の協力は欠かせない。市教委は保護者らのデータを共有し十分な理解を求めてほしい。

さらに一歩踏み込んだ、いわゆる「学級崩壊」。その背景にある「親崩壊」もさけて通れない問題である。

因南学園幼小中一貫教育土生幼稚園と因南(土生、三庄、田熊3町)の小・中学校を統合、旧因島高校土生校舎跡地に学園建設。幼小中の12年間を一体ととらえて指導する。広島県内では呉、府中の両市が小中9年一貫教育を市全域で推進。教育課程は「4・3・2区分」が一般的で「5・4区分」などもある。

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