ふるさとの史跡をたずねて【155】白滝龍王社(因島重井町八幡神社)

白滝龍王社(因島重井町八幡神社)

前回の生眼八幡宮の写真の左上に写っているのが白滝龍王社である。重井町の伊浜八幡神社の境内神社は本殿の左右に拝殿と同じ西向きに建っているのに、この白滝龍王社のみが南東を向いている。これは白滝山の方角であり、白滝山に棲む龍王の方を向いているということであろうか。

しかし白滝山には、龍王さまはいらっしゃらない。何故ならば白滝山には滝はないからだ。白滝山とは言うが、この滝の字から水の流れる滝を連想するのは間違いである。タキという音を表すに過ぎない。タキは御嶽さんのタケの西日本バージョンであり、崖をあらわす。椋浦町に白嶽の鼻(しらたきのはな)があることは、以前にも書いた。

四国霊場の21番太龍寺は、弘法大師が修行されたところで「阿国大瀧嶽」と書かれているが、大瀧だけですでに大きな嶽(タケ、タキ、ガケ)を表しているのではないかと、ロープウエイで、狼の置物を置いている険しい崖を見ながら思った。全貌を知らないのでそう思うだけである。大きな山だから滝の一つぐらいはあるかもしれないが。

重井町でも大雨が降ったとき岩の上を白い滝のように水が流れるから白滝山と呼ぶのだと思っている人は多い。しかし、誰一人として、そんなものを見た人はいない。昨年の7月豪雨の時も、見られなかった。もし、そのようなものが見られる時は、山頂が石仏ごと崩壊して二度と再建はできないだろう。

ということで、ここに白滝龍王社があるのは、白滝山のタキを水の流れる滝だと解する誤解に基づくものだと思われるが、白滝山でも雨乞いがなされたことがあるので、雨乞いのために八大龍王を祀ってあると考えれば、問題はない。

八大龍王といえば、鎌倉幕府3代将軍の右大臣実朝歌集「金槐和歌集」に、時により過ぐれば民のなげきなり 八大龍王雨やめたまへという有名な歌が歌集の最後にある。

雨乞いの機会は減った。大雨の方が多い昨今だから、万葉集が好きだった悲劇の将軍にならって、八大龍王雨やめたまへ、と大雨の時には祈るのがよいだろう。

(写真・文 柏原林造)

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