因島鉄工業団地協同組合 30年ぶりの新造船活況で受注安定確保体制づくり

大型船舶は、船首や船尾、細かい部分など必要に応じてブロックとして造り、船台やドックで組み立てるのが一般的。造船各社の手持ち工事量の伸びに連動してブロックの需要も急増する。そのため30年ぶりという新造船の活況が続く中、主要なパーツである船体ブロックの安定確保に向け体制づくりが急がれる。船舶部品メーカー13社でつくる因島鉄工業団地協同組合は考えられないペースで増えてくる国内の建造量を予測して数年前から計画していた共同工場の海面埋め立て拡張工事が間もなく完成する。そこで、柏原公生理事長=写真=に現状を聞いてみた。

―日本造船工業界などによると、2005年の手持ち工事量は国内全体で5187万総トン。2000年の3倍といわれていますが…

「1970年代、1980年代の造船不況で各社は設備を縮小したり、設備投資を控えたりしたため生産能力が不足、いま船体ブロックは超売り手市場。昨年6月に総額25億円を投じ、海面を埋め立てて工場の拡張、整備着工したが、間もなく完成する。2月25日に完工式の予定。ブロック大型化のニーズや中国特儒などで今後の市場拡大をにらみ決断した結果です。その背景には尾道造船や常石造船など取引先が大型化を要望。2001年3月の芸予地震で因島鉄工団地の地盤が沈下。日本郵船など海運大手が船舶数増の大型投資を推進することなどがあげられます。」

―民間企業が広島県から海面埋め立ての許可を得たのは 年ぶりと聞きましたが…

「県港湾管理室の瀬戸内海環境保全規制が厳しかったが、社会性から判断、許可されたようです。その上で、事業費の80%、20億円は国と県から高度化事業融資を受けました。これで同団地は現在、海に面した約1万9千平方メートルに1800平方メートルの工場4棟あるが、さらに3200平方メートルを埋めたて、隣接する空き地を整備して2250平方メートルの工場5棟を建設中。これで、ブロックの月産1千トン増の8千トンが見込まれ、船体ブロック製造では日本一の集積地の座を不動にしたい。」


完成間近い海面埋め立て拡張船体ブロック工場

―造船ブームに限らず日本の製造業界のネックになっているのが人手不足。設備を増強しても景気拡大に伴う他の業界との獲得競争の激化で増産に必要な作業員が集まりにくいのでは…

「かつて高度成長期には18組合(事業所)1300人が働いていたがオイルショックに続く1990年代の造船業界の構造的不況で5社が倒廃業、現在、13社800人。このうち外国人研修生が140人。インドネシア、タイ、中国からで研修期間は3年間。造船現場を支える戦力になっているが、研修期間の3年から5年への延長が可能な(構造改革特区)を国に申請する準備調査をしているがハードルが高い。特に派遣国と年間十億円以上の取引条件については尾道市でクリアーする環境が見当らない。国は発展途上国の人材育成への協力であり、労働力ではないというが背に腹は代えられない。2007年から団塊世代の大量退職も本格化する。設備と人員をいかに効率よく活用するかアイデアと工夫が一層求められる。」

因島鉄工業団地協同組合
尾道市因島重井町6320―1
TEL0845-25-11511

外国人研修制度
中国や東南アジアの若者に技術を身に付けてもらおうという政府が始めた制度。この制度は、技術研修・実習をしながら1年の語学など研修を経て最長3年在留できる。現在、因島の企業で約700人が受け入れられ、研修中は労働基準法などの適用外で、最低賃金を下回る水準の月7万円程度の手当て。3K職場は頼みの綱というケースもある。

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