ふるさとの史跡をたずねて【147】山の神社(因島重井町山ノ神)

山の神社(因島重井町山ノ神)

因島重井町の字(あざ)山の神には山の神(やまのかみ)社が祀られている。国土地理院の地図では竜王山と書かれているが、地元では権現山と呼ばれている山の北麓である。

少し上には、今は埋められてゴミステーションになっているが、かつて山の神池という溜池があって、子供の頃魚釣り用のヌマエビを採りに行ったことがある。下流に田んぼがあってもいいのだが、その頃はもう田んぼはなくなっていたので、開削時の目的は終えたが、宅地化が進んだときに防火用水として重宝されたに違いない。特に下流域は住宅密集地であったからなおさらだった。

山の神池の水は北に下り、大出酒店前の防火用水池にたまり、そこで北と北西に分岐され、それぞれの先端にも防火用水池があった。なかなかよくできた施設で、先人の知恵には頭がさがる。しかしそれも市の水道が重井町まで延長されると、各所に消火栓が設置されて役目を終えた。山の神池や防火用水池は埋められ、導水路の大部分が暗渠になって排水路として機能しているに過ぎない。

さて竜王山であるが、前回書いた通り、雨乞いが行われていた山が竜王山と呼ばれている。雨乞いが迷信だと思っている人は多いがそうではない。都では天文博士の阿部家や土御門家が司(つかさど)ったのかも知れないが、地方では山伏や神官の祈祷や祝詞で始まった。雨が降れば、彼らの能力が評価されるが、降らなければ無能ぶりをさらけ出すことになる。自己の力を示すためには、その地域の気象現象に通暁し雨が降りそうな頃に雨乞いをすればよいことになる。

また山上で火を焚けば上昇気流が生じ、雨雲が近くにあるとさらに引き寄せ、煤(すす)などの微粒子が核となって雨を降らせやすくするだろう。したがって、村の代表からそろそろ雨乞いをと打診された時、いつ承諾するかを決める術は彼らの家で伝授される企業秘密であった。

農村では長い日照りの後で雨が降ると「雨喜び(あまよろこび)」をした。雨振り正月とも呼ばれるように、畑仕事を休みご馳走を作って祝った。

(写真・文 柏原林造)

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