ふるさとの史跡をたずねて【132】仁井屋新開(因島中庄町新開区)

仁井屋新開(因島中庄町新開区)

蘇功新開の灌漑用水池ぞいの桜は水軍スカイラインの北の名所である。そしてここから南へ登れば、外浦町鏡浦町間の平田道路を通る峠道へ続く。また、この池より海側(東側)が仁井屋新開である。

仁井屋新開は昭和の新開で歴史的にも新しい。時代が新しいせいか、立派な記念碑が建っている=写真

昭和23年(1948)に工事を始めて昭和32年(1957)に完成しているから、実に10年の歳月を要している。国庫補助による広島県の事業であった。工事は、中庄村の村長であった宮地弘氏が推進したので、宮地弘氏の屋号から仁井屋新開と呼ばれる。

中庄町には仁井屋新開とは別に仁井屋という地名があり、なかなか複雑である。多くの場合、長男が相続し、次男以下は他家に養子に行くか、あるいは分家する。この分家のことを新屋と呼ぶ。「しんや」と発音する人が多いと思うが、時に「にいや」と言う人がいる。私がはじめて分家のことを「にいや」と聞いて驚いたのは岡山であった。大江姓宮地氏は全国に分布するのであろうが、因島宮地氏の遠祖は、例えば岡山県井原市大江町宮地郷という地名があるように、備中に勢力をもっていた。だから宮地氏の一部の人たちは分家のことを「にいや」と言ったのではないか、と私は思う。そしてその分家は周辺の地名になるほど大きくなった。漢字はわかりやすいものがつかわれたということであろう。

このように「仁井屋」を「新屋」と解釈したが、「仁井」には別の意味があるので注意が必要だ。因島の例ではないが、仁井、仁井山、仁井川などは、丹井が転化したものである。丹生(にう)というのは辰砂(シンシャ)、すなわち硫化水銀HgSのことである。硫化水銀は加熱すると水銀と硫黄(いおう)に分かれる。金を含む鉱石を水銀に溶かし、加熱して水銀を蒸発させれば金が得られる。これが古い金の採取法で、同じ原理で奈良の大仏が金メッキされたことはよく知られている。この丹生(辰砂)を多く含む所が丹井、丹生田、丹生野などと呼ばれ、のちに仁井、入田、入野と表記されるようになった。これらは、古代の水銀産地で丹生一族によって採掘された。残念ながら因島にはそのような痕跡や伝承はない。

(写真・文 柏原林造)

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