因島にて…Ⅱ 地域から見えるもの【21】私と原発(3)

 上関原発の工事現場と祝島で感じたものをどのように実らせていくか、一つの課題となった。原発建設に反対しつづける島人の暮らしを描くドキュメンタリー映画「祝の島」の製作に協力し、その上映会を行うことで、その想いを継続しようと考えた。


 纐纈あや監督は朝日新聞(2009年1月20日夕刊)のインタビューに答えて次のように語っている。

―島の人は反原発のために生きてきたのではない。いや応なく反対せざるを得なくなっただけ。島民が身をていして守ろうとしている大切な生活を記録したい。

 私はこのような映像感覚が好きだ。テーマありきで、それに都合の良い素材だけを集めてつくりあげる手法は、分かりやすいが嫌いだ。カメラを向ける対象に迫り、ていねいに描いていけば自ずとテーマが浮かびあがってくるはずである。
 また、瀬戸内海の島をテーマにした新しい映画が誕生することが嬉しかった。監督がどのように島を描くか、楽しみだった。自らが居住する島を舞台にした映画ができることを密かに願っていた私にとって、その計画の達成のようにも思えた。
 映画の宣伝チラシには「祝島」について次のように記している。

―瀬戸内有数の漁場、周防灘と伊予灘の間に位置する山口県熊毛郡上関町の島。上関町は本州の一部と祝島を含めた3つの有人島から構成されている。
 面積7.67平方キロメートル。人口530人(2008年6月末現在)。うち65歳以上が全人口の70%を占める。主な産業は漁業と農業。特産品は、びわ、みかん、ワカメ、ひじき、石豆腐、寒干し大根、甲イカ・タコの一夜干しなどの海産物加工品ほか。4年に一度のお祭り神舞(かんまい)は、千年以上続いていたといわれる伝統行事。

 地元での上映会を開催するために、監督を招き、編集前のフィルムを鑑賞する「ラッシュ上映会」を開いた。2009年11月下旬のことで、会場はわが家である。地元の映画関係者、報道記者が集まった。監督は、「中四国の瀬戸内海、しまなみ海道の島々のみなさんに見ていただきたい」と熱く語った。
 映画は翌年春に完成し、地元祝島での上映会を皮切りに、瀬戸内海は、山口県、三原市、岡山市、尾道市、因島、瀬戸田、松山市、広島市、福山市などとつづいた。どこも盛況だった。上映会の準備をして気付いたのだが、上関原発と祝島の反対運動のことが予想を超えて認知されていた。身近に祝島出身者が多いことに驚かされた。
 私は尾道市の映画館「シネマ尾道」で作品を観た。その出来ばえに満足できた。特に印象に残ったのは、すでに瀬戸内海には滅びてしまい、ここにしか残っていないとも思える自然の豊かさもそうだが、島の人々の勤勉さと明るさであった。
 ふと思うのだ。勤勉実直に働くことが美徳として賞賛されたのはいつの時代だったのだろうか。正直に働く者が苦しみ、働くことを諦め、莫大な補償金や交付金に依存するしか生きる術を失った者が喜ぶという社会になったのは、いつごろなのか。懸命に汗水たらして働く者を失ってしまったら、果たして社会は成り立っていくのだろうか。原発は人間の堕落と怠惰の究極の産物ではないか。
 また島に住む者の口惜しさと悲しさが込みあげてくるのだった。島の対岸を埋め立てられ、原発が設置されたらどうなるのか自明ではないか。「島などどうなってもよい」との声が聞こえてくる。海や島があっての日本列島であることを想い起してほしいのだ。
(青木忠)

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