因島にて…Ⅱ 地域から見えるもの【15】研究者の試練(1)

 最近、ふたりの地震学者のインタビュー記事を読んだ。いずれも、まったく想定できなかった東日本大震災に衝撃をうけた心境を吐露したものである。


 8月13日の毎日新聞は、纐纈一起(こうけつ・かずき)東大教授のインタビュー記事を載せた。同教授は7月末、福島第一原発の事故を受けて、原発の耐震安全性を検討する国の作業部会の主査と委員を辞任した。その理由を質問された教授は、「震災で科学の限界を痛感」した、と率直に答えている。

―・・・(委員を)引き受けるからには、科学的に正しい耐震安全性が適用されるよう信念の下、努力したつもりです。しかし、東日本の太平洋沖で全く想定外のマグニチュード(M)9.0の超巨大地震が発生し、信念の根拠となるべき科学に限界があることが明らかになった。

 「大地震を想定できなかったのは地震学の限界」か、との問いに対して、その「限界」の内容に関して次のように答えている。

―地震学は実験ができない制約の大きい科学で、過去に起こったことが把握できていない事象の予測は困難なのが現状です。これが限界だと思います。地震が起こる理論がきっちりできていれば、こうした予測は可能になるはずですが、そのレベルに達していない。

 これからの地震研究の方向はどうあるべきか、について次のように述べている。

―この限界をふまえ、古文書や津波堆積物を含む地質学的な調査など過去の地震の把握に注力すべきです。国の地震調査研究推進本部では、海底地殻変動の観測を優先する議論があります。それはそれで重要ですが、最優先は過去の地震の把握です。

 原発の耐震指針の改定問題にも言及している。

―科学的に予測する最大の揺れ「基準地震動」とは別に、立地を問わず、過去最大の揺れと津波を同じ重みをもって安全性を考慮するよう改めるべきだと思います。過去最大というのは、原発の敷地でこれまでに記録したものではなく、日本、あるいは世界で観測された最大の記録を入れることが重要です。

 原発の今後については、示唆にとむ見解を披露している。

―基本的にはやめていくべきだと思います。世界最悪の地震国ですから。大震災の最大の教訓は、どんなに一生懸命に科学的に耐震性を評価しても、それを上回るような現象が起こる国だと分かったことです。それを考えれば、これから起こるすべての現象に備えられるような原発は造れないと思います。

 もうひとりは、日本地震学会長の平原和朗・京大理学研究科教授である。8月17日の朝日新聞は、「地震学者の敗北 過ちを洗い直す」という鮮烈な見出しのインタビュー記事を掲載した。
 東日本大震災以降の情勢について教授は次のように説明している。

―今回の地震域の周辺では、(余震が)5年以上、続くだろう。マグニチュード(M)8近い大地震が起こる可能性もある。西日本も21世紀半ばごろ東南海、南海地震が起こると予測され、その前に内陸の地震が活発化するという予測もある。首都圏でも、いつ大きな地震が起きてもおかしくない。

(平原和朗教授の項、次回につづく)
(青木忠)

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