因島にて…Ⅱ 地域から見えるもの【12】津波を考える(5)

 東日本大震災を受けて今村文彦教授は、「津波による人的被害の評価方法の抜本的見直し」を強調する。前号で示したように、まず「住民以外の、その場にいた人たちの人的被害」の想定の必要性を述べたうえで、「漂流物による被害の拡大」を予想する。

―今回の震災では、漂流物が多数出ています。沿岸部で破壊された建物の残骸、船、車などが津波と一緒に入ってくる。それによって人命が失われている。気仙沼の被害現場に私も入りましたが、津波に流された80メートルの大型漁船が港から約一キロ離れた住宅街に打ち上げられ、通り道になったとみられる場所では、津波に強いとされていた鉄骨作りの建物が完全に破壊されていました。

 太平洋岸の三連動の場合、その沿岸部である紀伊半島、四国の高知などがクローズアップされるが、「船ということになれば、瀬戸内海沿いの大阪、神戸などにも危険が及びます」と警告する。

―津波自体は弱い。弱いという意味は、高さがあまりないということです。ところが流れは相当速いものが来る。そうすると船が動いてしまう。船が水に浮いているということは、ある程度力が加わると動き出すということです。なかなか想像しにくいのですが、何万トンという大型船も、津波にとっては軽い。押し流されて沿岸部の工場や倉庫に直接ぶつかってくる。大阪、神戸には大型タンカーなど大型船舶が多数入港します。船の密度も高く、速い津波で逃げられなくなった大型船舶が、次々に沿岸部にぶつかる、爆発する、火災を起こすという事態も考えられます。

 被害想定を出した2003年当時、津波の高さで評価したので、瀬戸内海は基本的にはいっておらず(正確に言えば、注意事項としては入っている)、対策のメニューから外れている状況だという。
 今村教授は、「東日本大震災で明らかになった三つの知見を加えると、三連動地震の被害想定は、前述の中央防災会議の想定より大きくなると予想される」と結論づける。さらにその内容を見ていこう。
 三連動地震では、「県庁、県警本部、地域医療の中心などが被災し、救助の対応の遅れで二次、三次の被害が拡大する可能性もあります」と指摘する。

―東日本大震災では、宮城、岩手、福島の各県庁は大きな被害を受けず、県の機能が維持できたため、被災後の対応が可能でしたが、たとえば私が被害想定の調査をしている高知県では、県庁所在地の高知市が大きなダメージを受けると予測されています。

 被害は沿岸部だけではなく震源から離れた地域でも起こりえるという。

―東日本大震災でも、東京や神奈川で1、2メートルの津波が発生しました。三連動地震が発生した場合、このレベルの津波はきます。1、2メートルと聞くと大したことはないと思われるかも知れませんが、津波は50センチでも人を流してしまいます。ビーチや海岸線にいたとすれば流されてしまう規模なのです。

 震源から離れて地域で生起するものとして最近、指摘されるようになったのが、長周期地震動であるという。

―規模の大きな地震では必ず長周期地震動が発生します。いわゆる共振現象が起こり、大きな構造物、高層ビルや橋などが大きく揺れます。たとえば、高層ビルのコピー機やテレビが大きく動いて怪我をする、エレベーターが使えなくて高層ビル難民化するといったケースが考えられます。

(青木忠)

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