因島にて…Ⅱ 地域から見えるもの【11】津波を考える(4)

 津波研究の第一人者である今村文彦東北大大学院災害制御研究センター教授(津波工学)は、自らメンバーとして参加した中央防災会議の三連動地震の被害想定(2003年9月)を次のように紹介する。

―「東海地震、東南海地震、南海地震の震源域が同時に破壊される場合」には、揺れによる被害、津波による被害ともわが国最大級となり、建物全壊が約90万棟、死者約2万5千人に及ぶ。また、経済的被害も直接被害、関接被害合わせて最大81兆円にのぼることが想定される。

 今村教授は次のように説明している。

―阪神・淡路大震災による被害が約10兆円、東日本大震災は16~25兆円と言われていますので、その被害額の大きさがわかります。
 中部から西日本の太平洋沿岸は震度6強以上で揺れた後、5メートル以上の津波が静岡、愛知、三重、和歌山、徳島、高知、大分、宮崎を襲うと予測されています。東京湾でも1~2メートルの津波が予測されています。
 東日本大震災の震源だった日本海溝は、陸地から離れたところにありますので、揺れよりも津波の被害が大きい。ところが南海トラフは沿岸部にごく近いので、揺れも大きく、即津波がきます。東日本大震災では、三陸沿岸で30分程度で押し波が来ましたが、たとえば和歌山の紀伊半島先端部だと約10分で津波が到達します。平野部では液状化、山間部では土砂崩れが一気に広い領域で起こります。

 今村教授は、以上の被害は2003年当時想定された最低限の数字であるとして、東日本大震災の被害を受けて、現段階で反映できる知見として、3点をあげている。ひとつは、「複合被害」である。
―従来、被害想定は地震動や津波を単独で検討してきました。揺れに対する被害、津波に対する被害をそれぞれ分けて評価していたわけです。ところが、東日本大震災での被害状況を見ると、複合被害が起きている。
 まず揺れによって沿岸の構造物、建物などがダメージを受ける。液状化も起きる。地盤も緩む。そこに津波が来た。沿岸の構造物、建物が破壊されましたが、単に津波の力によるものだけではないと思います。津波の波力が強かっただけではなく、建物の基礎が地震で既にダメージを受けていてそこに津波がきてひっくり返った。

 次に地盤沈下の影響である。

―地殻運動によって沿岸部の地盤自体が沈み、低くなる。そうなると堤防も相対的に低くなり、津波が乗り越えて陸へと流れ込む。あるいは液状化で基礎が緩くなり、建物のコンクリート自体は大丈夫でも、建物が動いてしまう。これまでの評価は、堤防など沿岸の保全施設は健全という前提でやらざるをえなかったのですが、今回、その前提が大きく覆された。

 3点目は、「津波による人的被害の評価方法の抜本的な見直し」である。その最初に、「被災者は住所のあるところにいて、亡くなる」という従来の想定が、現実に即してなかった、と指摘している。

―今回、午後二時過ぎが発生時間だったため、住民だけではなく、たまたまその場所にいる人、車で移動していた、仕事で沿岸部にいた、そういう野外、屋外にいた方が多数亡くなっている。特に仙台平野では、港の周辺にかなりの交通量が多くて渋滞になり、逃げ遅れて亡くなった方がたくさんいます。車で自宅に家族を避難させるために戻って被災したなど、従来の評価では対象にならない状況がたくさんありました。

(青木忠)

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