ふるさとの史跡をたずねて【100】村上元三詩碑(因島中庄町金蓮寺)

村上元三詩碑(因島市中庄町金蓮寺)

20年ほど前に刊行された『芭蕉自筆 奥の細道』では原稿の写真の下に「夏艸や兵共か夢の跡」(なつくさや つわものどもが ゆめのあと)と活字に直したものがある。

この連載の基軸を中世から近世に移すにあたって、金蓮寺の墓地を訪ねたが、あの有名な俳句を思い出した、とだけ書くことにして資料館の前まで戻った。

そこには「みなみ吹く 村上水軍ぞ あの歌は 因島にて 村上元三」と彫った岩がある。裏には「この因島から遠いむかし 八幡船の男たちが南冥の海へ船出して行った、その村上水軍の男たちの歌声が 南風に乗ってあの雲の下から いまもはるかに聞こえてくる。村上元三」と書かれている。

因島村上氏では第二家老稲井氏が中国貿易を担当していたので、それに類することがあったかもしれない。

さて、村上元三氏の小説『八幡船』を映画化した『海賊八幡船』を観たのは小学校の時で、「八幡大菩薩の旗のもと…」という冒頭のナレーションを覚えているきりで、他のことは何も覚えていない。そういう次第だから、その記憶も怪しいものである。

その因島村上氏が慶長5年(西暦1,600年)の関ヶ原役に負けた毛利氏にしたがって因島を去ると、因島はただの農村になる。とはいえ、村上氏や武将たちの子孫と名告る人たちを中心に近世農村社会が建設されていく。なかでも干拓と廻船業への進出は特筆に値する。やはり、海は宿命であった。

(写真・文 柏原林造)

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