北米紙幣になった日本女性 因島出身キミコオカノムラカミ 激動の時代乗り越えた移民家族【19】


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終章(一)

娘のメアリーの話は続きます。
「注目されるカナダ人女性」の肖像写真の中でキミコは自分の農園で育てた”ひょうたん”を背景に収まっており、その被写体であるキミコの強さや個性がよく表れた写真です。そのほか、オリジナルの写真はカナダ国営公文書保管所の永久コレクションの中に今も飾られています。


100ドル札の肖像写真

2001年、ソルトスプリング島金融基金は自分たちの島内で使う独自の銀行券の発行を始めました。その銀行券はソルトスプリング内だけの合法的な貨幣ですが、カナダ㌦と額面同額で売られており、100ドルまでのそれぞれの紙幣に印刷された肖像はソルトスプリング島の開拓者たちへの尊敬の念を表すものになっています。

抑留を乗り越えての勝利

2003年1月8日、100ドル札が発表されましたが、そのお礼にはウッドリーによって撮影されたキミコ・ムラカミの肖像写真が使われ、裏面はソルトスプリングの住人ロバート・ベイトマンによって描かれた絵が使われることになりました。CoinWorld.comによると、その紙幣は北アメリカ内において、アジア人の肖像を印刷した初めての紙幣だったそうです。

2006年1月15日午後9時30分、チャンネルMはトロントの映画製作者スーザンポイズナー氏による13部からなるドキュメンタリーシリーズ「マザータン(母国語)」をブリティッシュコロンビアで初公開した。その初回放送はキミコ・ムラカミのことを取り上げた「抑留を乗り越えての勝利」でした。

マザタンシリーズを制作することによるポイズナー氏の狙いは、カナダの多民族コミュニティから賛美されてこなかったヒロインたちの話を多くの人に伝えることであり「カナダの歴史は英国人とフランス人の話のみで語ることができる」という神話を払拭するためだった。

ポイズナー氏が明らかにしたこれらのエピソードは、フィンランドの参政権拡張論者や中国の市民権活動家の話からアフリカ系アメリカ人の逃亡した奴隷や1850年代の自由を勝ち取るために戦っていた人の話にいたるまで多岐に渡ります。彼はバンクーバーを中心に活躍している調査員に日系カナダ人コミュニティから注目すべき女性の話を探し出すよう頼んでおり、彼女のデスクの上に届けられたそれらの話のうちの一つがキミコ・ムラカミの話でした。

(庚午一生)